2022年7月20日、学生局(Office for Students:OfS)※1は、高等教育機関1校に対して「大学(university)」の名称使用権(university title)を承認したことを発表した。学生局は、2019年4月からイングランドにおいて「大学」名称使用を承認する権限を有しており、初めてその権限を行使した事例となった。
今回「大学」の名称使用が承認された機関
旧機関名:NCH at Northeastern Limited
新機関名:Northeastern University – London
2021年2月、NCH at Northeastern Limitedは学生局に対し、「大学」の名称使用のための申請を行った。これを受け、学生局は新たな機関名についてコンサルテーション※2を実施した上で、機関名の変更を承認した。
同校※3は2012年にNew College of the Humanities (NCH)として開設し、2019年にNCH at Northeastern Limitedとなった。2020年には課程学位授与権(Taught degree awarding powers:TDAP)を取得し、学生局の高等教育機関登録簿に登録されている。大学名称使用権の取得に関する同校の発表では、国際的にも雇用主からの認知度が高い大学の学位を提供することは、学生や卒業生にとってメリットがあるとしている。また、2023年9月から学士の学位取得を目指す学生には、Northeastern Universityのメインキャンパス(アメリカ・ボストン)で1学期間の留学機会が提供される。
■イングランドにおける「大学」名称使用権
イギリスでは、「大学」や「ユニバーシティー・カレッジ(university college)※4」の名称は法律で保護されており、承認なしに使用することはできない。
イングランドでは高等教育・研究法に基づき、2019年4月から学生局が高等教育機関の「大学」名称使用を承認する権限を持っている。それ以前は、枢密院(Privy Council)または国務大臣(Secretary of State)が「大学」や「ユニバーシティー・カレッジ」の名称使用を承認していた(本サイト2013/1/18掲載記事)。したがって、学生局の大学名称使用の承認権限は、枢密院の権限を引き継いだものである。
審査は学生局が実施し、審査過程で英国高等教育質保証機構(QAA)の助言を得ることとされている。名称使用の承認要件や審査プロセスは時代によって異なるが、一般的に申請機関には学位授与権や学生数に関する要件が求められる。具体的には以下のとおり※5。
「大学」及び「ユニバーシティー・カレッジ」の主な共通要件
- 学生局の高等教育機関登録簿※6に登録されていること。
- 同登録簿の登録継続要件をすべて満たしていること。
- 研究学位授与権(Research degree awarding powers:RDAP)または課程学位授与権(TDAP)を取得しており、その権限が期限付きのものでないこと。
「大学」のみに課される主な要件
- 当該機関の全フルタイム学生数に占める高等教育課程のフルタイム学生数の割合が55%を超えており、高等教育課程のフルタイム学生数の最低50%がイングランド・ウェールズ・北アイルランド高等教育資格枠組み(Framework for Higher Education Qualifications in England, Wales and Northern Ireland:FHEQ)のレベル6(優等学士、普通学士等)以上のコースを履修していること。