原典:ENQA(英語)
提言書:「European Approach for Quality Assurance of Joint Programmes」(英語)
ボローニャプロセスの遂行を担うボローニャ運営委員会(BFUG: Bologna Follow-Up Group)は、2014年10月に「共同教育プログラムの質保証に関する欧州的アプローチ」(European Approach for Quality Assurance of Joint Programmes)と題した提言書を公表した。2015年春に行われる欧州高等教育大臣会合で、欧州高等教育圏(EHEA)の教育大臣による承認を受けることが見込まれている。
提言書での「共同教育プログラム」の定義
提言書では、
- 国別に特別な要件を定めずに、共同教育プログラムに求める統一基準を作ることで、こうしたプログラムの開発障壁を取り除き;
- プログラムの共同性を的確に反映する質保証アプローチを提供する
という2つの特徴が強調されている。
この「欧州的アプローチ」は、EHEAの高等教育すべてに適用されている欧州高等教育圏における質保証の基準とガイドライン(ESG)と、欧州高等教育圏資格枠組み(EHEA-QF)をもとに作られているが、プログラムの共同性重視のため、JOQARプロジェクト(NIAD-UE共同教育質保証サイト)で検証された共同教育プログラムの質保証の手順や観点が取り入れられている。基準は下記の通り9つの項目で構成され、対応するESG条文も明記されている。また、提言書では評価の手順もESGに沿って大枠が示されている。
異なる質保証制度下での「欧州的アプローチ」の適用ケース
該当する国の高等教育機関は、欧州質保証機関登録簿(EQAR)に掲載されている質保証機関にプログラム評価を依頼する。質保証機関は、「欧州的アプローチ」の基準と手順を用いて、プログラムを審査する。ブカレストでのEHEA高等教育大臣の共同宣言により、評価の結果(適格認定)はEHEA内すべての国で受け入れられることになっている。そのため、各国はそれぞれの規則に従って、当該質保証機関の評価結果をそのまま受け入れるか、認証を行うなどの対応をする。(2)機関単位の評価/認定のみが必要であり、共同プログラムへの参加機関は自己認証権を有する場合
共同教育プログラムに参加する国すべてにおいて、機関単位の評価しか課されておらず、該当する高等教育機関には自己認証権(self-accrediting status)が与えられているときには、「欧州的アプローチ」を用いる必要はない(ただし参考にはなる)。
(3)EHEA以外の国が参加している場合
EHEA以外(例えば日本)から参加している高等教育機関は、その国の質保証を管轄する当局に対して、「欧州的アプローチ」の基準を受け入れ、EQAR登録済の質保証機関による評価結果が認められるかどうか、確認することが期待される。
欧州的アプローチ基準と対応ESG条文
基準 | 該当ESG条項 (第4版(本サイト2014/12/22投稿記事)) |
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1. 適格性(Eligibility) 1.1 ステータス(Status) 1.2 デザインと提供の共同性(Joint design and delivery) 1.3 連携協定(Cooperation Agreement) |
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2. 学習成果(Learning Outcomes) 2.1 教育レベル(Level) 2.2 学術分野(Disciplinary field) 2.3 達成状況(Achievement) 2.4 規制を受ける職業(Regulated Professions) |
1.2 教育プログラムの設計と承認1.2 教育プログラムの設計と承認 |
3. 教育プログラム(Study Programme) 3.1 カリキュラム(Curriculum) 3.2 単位(Credits) 3.3 負荷(Workload) |
1.2 教育プログラムの設計と承認 |
4. 入学と学習履歴の認定(Admission and Recognition) 4.1 入学(Admission) 4.2 学習履歴の認定(Recognition) |
1.4 学生の入学・進学・認定・証明 |
5. 学習、教授、審査(Learning, Teaching and Assessment) 5.1 学習と教授(Learning and teaching) 5.2 学生の学習成果の審査(Assessment of students) |
1.3 学生中心の学習・教育・アセスメント |
6. 学生支援(Student Support) | 1.6 学習資源と学生支援 |
7. 資源(Resources) 7.1 教職員(Staff) 7.2 設備(Facilities) |
1.5 教員および1.6 学習資源と学生支援 |
8. 透明性と文書化(Transparency and Documentation) | 1.8 公開情報 |
9. 質保証(Quality Assurance) | 1.1 質保証の方針 |