台湾教育部 2019年までにASEAN、南アジアからの留学生を倍増へ

原典①:教育部「新南向人才培育推動計畫」
原典②:行政院「新南向政策推動計畫」

2016年6月、台湾では、国民党から民進党に政権が移り、蔡英文新総統により、ASEAN、南アジア、オセアニアの計18か国との連携を強めることを目的とした「新南向政策」が打ち出された。これまで台湾はASEAN諸国と南アジアを工業製品の輸出加工拠点としてとらえてきたが、今後は「新南向」対象国※1の内需とインフラ建設等に重点をシフトし経済関係を深め、人的交流を強化することにより、双方向の協力関係を築いていくことを目指している。

その中で、教育の面でも奨学金の増枠を含む様々な方策により、これらの国々と双方向のモビリティを強化していく方針が示された。

「新南向政策」の教育面の主な内容

  • 大学の若手研究者、学生の双方向の交流
  • 各種奨学金の増枠により、ASEAN、南アジアの大学教員、優秀な若者を台湾に招致
  • 奨学金の提供により、台湾の優秀な若者のASEAN、南アジアへの留学、実習、フィールドワークを支援
  • ASEAN、南アジア諸国の専門人材の育成と技術訓練
  • 台湾における産業のニーズに合わせて、「産学協同専門プログラム」、「海外青年技術訓練プログラム」、「華僑青年技術訓練プログラム」の設置と卒業後の就職サポートの実施
  • 台湾の大学の海外分校、海外プログラム、進学準備コースの展開の奨励

※1「新南向政策」対象国:ASEAN10ヶ国、インド、ネパール、パキスタン、スリランカ、バングラデシュ、ブータン、オーストラリア、ニュージーランドの計18ゕ国

この政策を受け、教育部から「新南向人材育成アクションプラン」が発表された。教育部は2017年度に10億元(日本円:約36億円)を投じ、受入・派遣双方向の奨学金の新設または増額による、自国の「新南向」対象国の言語・産業・社会文化に精通した人材育成と、各国の青年の台湾の高等教育機関への誘致、各国のニーズに適した良質な教育を提供する高等教育機関への助成、「新住民※2」二世を対象とした小学校での東南アジア言語教育の提供、高等教育機関での「新住民」二世に特化したプログラムへの助成、各国における台湾進学予備コースの展開など、様々な施策を講ずるとしている。
※2「新住民」:台湾人の外国籍の配偶者で台湾に定住している者

これにより、台湾に来る「新南向政策」対象国からの外国人留学生が今後、年20%ずつ増加し、2019年には、5.8万人に達すると見込まれている(2015年は2.8万人)。2017年分の各国向け奨学金枠は、インド、インドネシア、タイ、ミャンマー、フィリピン等への増枠が目立っている。

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