中国における大学評価の第2ラウンドの現状

原典:中国教育部

中国教育部は、2016年10月に行われた政治協商会議第12回全国委員会第4次会議で出された高等教育行政に関する提案に回答する形で、第2ラウンドの大学評価における中央政府と地方政府における役割について言及した。

中国で現在実施されている大学評価には、2000年以降に行われた機関別評価を未受審の新設校もしくは不適格(原語:不通過)と判断された大学を対象とする「合格評価」と、2000年以降に行われた機関別評価において適格(原語:通過)と判断された既設校を対象とした「審核評価(本サイト2014/7/7掲載記事)」の2種類がある。いずれも5年周期となっており、「合格評価」を受審して適格と判断された大学は、次の5年サイクルで「審核評価」を受審することとなり、不適格となった大学は合格評価を再度受審することとなる。

中央政府と地方政府の役割分担について、合格評価は、中央政府である教育部高等教育教学評価センター(HEEC)によって実施される。同評価は、新設大学の地域性と実践型教育を目指す大学運営の特色に重きを置いた設計となっており、基本的な運営条件、教育管理、教育の質、地方経済・社会発展への貢献、実践型の人材育成力などを評価指標とし、新設大学の進むべき明確な方向を示す役割を果たしている。なお、教育部は第2ラウンドを2011年に開始し、既に168の新設大学に対する合格評価を完了している。

審核評価は、中央直轄大学についてはHEECが、地方大学については地方の行政機関や第三者評価機関が担っている。各地方では、行政と評価機関の分離を進めるために、第三者評価機関の設置が進められている。審核評価においては、各地の教育行政部門がそれぞれ当該地域の高等教育発展状況に合わせて、教育評価メカニズムを構築しつつあり、既に江蘇省教育評価院、福建省教育評価院などの教育評価機関が当該地域の評価業務を行っている。同評価では、これまでの大学評価の経験を生かし、国内外の先進的な評価事例を参考にした新たな評価方式を採用し、大学の人材育成の多様性と自主性を重んじた評価となっている。そのため、大学の運営条件、教育の質、大学運営のポジショニング、人材育成目標の適合性、内部質保証メカニズムの構築と運用状況、教育改革の施策と成果などが主な観点となっている。

HEECは、審核評価専門家をプールし、専門家研修及び各地の審核評価業務の指導を行うなど、審核評価専門家の質向上に向けた活動も推進している。

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