英:代替プロバイダーの80%が質基準を達成

英国高等教育質保証機構(QAA)は2015年から2016年に行った、代替プロバイダー※1 を対象とする高等教育レビューの分析結果を発表した。

1. 高等教育レビュー(代替プロバイダー)について

代替プロバイダーは以下の2つの主な目的のために、QAAによる高等教育レビュー(代替プロバイダー)を受ける。
①教育省(DfE)から公的な学生ローンの資金を得る指定を受けるため。
②内務省から「Highly Trusted Sponsor(HTS) status」を取得するため。Tier4学生ビザ※2を通じて留学生を獲得したい代替プロバイダーは、この資格を獲得しなければならない。

代替プロバイダーは、このレビューを通常4年に1回受けることになっており、QAAはプロバイダーの申請に応じて、レビューを行う。レビューは以下の4つの観点で判定する。
(1)教育水準の維持
(2)学生の学習機会の質
(3)学習機会についての情報提供
(4)学習機会の向上
判定はピア・レビュー(参考:高等教育に関する質保証関係用語集第4版)方式で行われ、英国高等教育のための質規範(以下、クオリティ・コード(本サイト2014/10/10投稿記事))に沿ったものかどうかをもとに判定される。レビューは、書面調査及び実地調査の2段階で行われる。また、QAAは学生の意見がレビュープロセスにおいて重要と考えており、学生がレビューに参加するよう積極的に促している。

2. 今回の分析結果について

2015年から2016年にかけて、QAAは38の代替プロバイダーに対しレビューを行った。以下はその分析結果である※3

  • 80%の代替プロバイダーが肯定的な結果を得た。これは以前よりも高い割合である。
  • 代替プロバイダーは継続教育カレッジ※4よりも良い成果を出している。継続教育カレッジの約30%は一つ以上の否定的な判定を受けている。
  • 4つの代替プロバイダーが学生の学習機会に関する取組みについて、卓越していると評された。
  • 成果を上げている代替プロバイダーは、学位授与権を持つ大学と連携していることが多い。
  • 創設が古く、明確な使命と目的を長年有している代替プロバイダーは良い成果を得る傾向がある。
  • 38の代替プロバイダーのうち7つは否定的な結果を得たが、この割合は2013年から2015年に行われた前回の分析(27のレビューを対象)よりも低い。また、7つの代替プロバイダーのうち5つがレビューの2つ以上の観点において不十分であるという判定を受けている。一般的に、こうした代替プロバイダーは高等教育についての理解が十分でなく、クオリティ・コードを表面的に取り入れるにとどまっている。

この結果に対し、QAAは「代替プロバイダーは、高等教育の多様性・選択・機会の可能性の拡大において重要な役割を担っている。政府の政策は新しく高等教育セクターに参画するプロバイダーを積極的にサポートしているが、学生の利益と長年の苦労によって手に入れた英国の高等教育の名声を守るため、質に関しては高いハードルを課す。」とコメントしている。

※1 代替プロバイダーとは、教育省(DfE)が管轄している学位授与機関と連携して高等教育プログラムを提供しているが、公的資金を受給していない機関である。年次プロバイダーレビュー(本サイト2017/3/15投稿記事)の対象外であり、これらの質保証はQAAが所管する。
※2 Tier4学生ビザとは、英国に長期滞在する場合に必要となる学生ビザであり、本ビザを取得すると就労(就労できない業種もある)も可能となる。
※3 QAAは今回のサンプル数が38と少なく、割合等の数値については、その点に留意することと指摘している。ちなみにQAAが代替プロバイダーのレビューを開始した2012年から2016年10月までの間に462の代替プロバイダーがレビューを受けている。
※4 継続教育カレッジは高等教育を除く、様々な教育課程を提供する。中等教育後の幅広い年齢層の学生を対象としている。

原典①:英国高等教育質保証機構(QAA)(英語)
原典②:英国高等教育質保証機構(QAA)(英語)

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