‘優良な教育’とは?―研究志向の大学が学生への教育に果たす役割

「研究志向の大学は、学生の教育についてどのような貢献ができるか」、「学生に対し、質の高い教育を提供するため、研究志向の大学の環境はどの程度関与できるか」。このような質問について、League of European Research Universities(LERU)※1はLERUの加盟大学や関連の学術機関を対象としたアンケート調査を実施した。

研究と教育の関係

  • 調査によると、研究志向の大学に在籍する学生は単に研究だけを学んでいるのではなく、研究を取り巻く学習分野の基礎や素養についても学んでいる。
  • 最新の調査に学生が積極的に関与することによって、専門的な道に進む上で必要とされる幅広い学習成果を獲得することにつながる。
  • 獲得した学習成果には批判的な思考、複雑な問題を解決する能力、倫理的な認識も含まれる。

‘優良な教育’を提供することに対する障害と機関の取組み

  • 研究志向の大学における内的な障害は、大学自体の構造と意思決定プロセスによるものであり、学生教育よりも研究を伝統的に重視する組織文化が挙げられる。一方、外的な障害は、学生数が増える中での限られた資金、資金や方針の不安定性、エビデンスベースの学問の実施に必要な資源の不足がある。
  • 研究志向の大学は教育の提供を増やそうと積極的に動いており、学生教育の機会の増加のために多様なアプローチをとっている。具体的には、カリキュラムの再構成と学生を研究志向へと向かわせるような方向性を持つことである。後者の促進のために大学が優遇する人材として、地域や国家、国際的な問題に対して、より関連性のあるアセスメントを実施し、さらに教育者として学問の発達や学生教育の分野に取り組むリーダーを育てるために、自身の専門を学生教育や学生への指導に投じようとする人をあげている。

LERU加盟大学が支持する原則

  • 研究と学生教育の共働を高めるような戦略を発展させる。
  • 研究志向のカリキュラムを実施するために、高等教育機関は学生やステークホルダーとの連携を指向する。
  • 優良な研究活動の常識として、優良な教育と教育重視の学識を重視する。
  • 優良な大学教員と教育重視のリーダーを優遇し、奨励する。
  • 最新の研究成果と実践を教育に反映させ、学部段階から全ての学生に積極的に研究をさせる。
  • 現代社会では研究に必要な技能、知識、資質を認識することは全ての人にとって不可欠である。同時にその事実を学生や雇用主に理解させる必要がある。
  • 学生教育と学生の経験に関して、対話と協力によって質文化を育成し、向上させる。
  • 学生に変化に対するリーダーとなるよう、主導権を握らせる。

高等教育機関への提言

  • 大学は包括的な教育戦略をその政策とともに発展させるべきである。
  • 大学の上層部は、さまざまな学問、学際的な文化を排除することなく、教員や学生教育に携わる人が理解できるように教育戦略と政策を作成しなければならない。
  • 大学は適切に予算を教育に配分すべきである。その際、学生数の増加や新たな教育に係る技術の急速な発展への対応、それを支援する専門的な職員の需要も考慮されるべきである。
  • 大学は様々な段階の既習得学習や学士段階のプログラムの受講に向けた準備コースを含めて、学生の多様性を考慮し、教育の計画に学生の様々な要求を考慮すべきである。
  • 大学は優良な教育を優遇し、学生の教育においてリーダーシッププログラムに追加的なインセンティブを設けるべきである。そのようにして様々な学習分野の基礎や素養に適格性を有し、高い質を伴った教育におけるリーダーシッププログラムを提供すべきである。
  • 新たな人員を雇用する時は、申請者の教育経験や成功を踏まえ、決定基準に基づいて評価すべきである。
  • 大学は若手の教員と経験を積んだ教員の双方に発展の機会を提供すべきである。

※1LERU:League of European Research Universityの構成大学
アムステルダム大学、ケンブリッジ大学等、22の欧州の研究大学から構成され、2002年に設立された。国際的に競争性のある研究環境において、高い質の教育に対する価値観を研究大学で共有することを目的としている。研究の側面に焦点を当てた報告書や提言書を出している(本サイト2016/5/13投稿記事)

原典:欧州研究大学連合(LERU:League of European Research University)(英語)

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