英国高等教育質保証機構(QAA)が2016-2017年度の年次報告書を公表

2018年2月9日、英国高等教育質保証機構(QAA)が2016-2017年度の年次報告書を公表した。以下、その概要を抜粋してまとめた。

教育卓越性枠組(Teaching Excellence Framework:TEF)について

教育卓越性枠組(TEF)は、英国の各高等教育機関における教育及び学習の卓越性について評価し、表彰することで、学生の大学進学先の選択等に役立つ情報を提供するものである。また、高評価を得た機関には授業料を物価上昇率に応じて増額できるというインセンティブを提供することによって、各機関に競争を促している。QAAは創設当初から、政府によるTEFの開発に大きく貢献してきた。

QAAは、TEFを運営しているイングランド高等教育財政カウンシル(HEFCE)と密接に連携して、TEF導入2年目の評価プロセスを遂行した。具体的にはおよそ100人のTEFの評価者・評価委員への研修等を実施した。TEF(2年目)の結果の詳細についてはこちらの記事(本サイト2017/8/9投稿記事)を参照のこと。

イングランド・北アイルランド地方における新規の高等教育機関の評価について

2016年に始まった新たな質保証制度(本サイト2016/6/2投稿記事)のもとで、QAAは高等教育セクターへの参入を目指す30機関を対象に、質における基礎的要件に係る訪問調査(Quality Review Visit)を実施した。

訪問調査では教育プログラム等の学術的な基準が適切に設定されていること、学生の学習経験の質が確保されていることのいずれにも「信任(Confidence)」の判定を受けた場合にのみ、「要件を満たしている」と判定される。判定結果にかかわらず、訪問調査後に受審機関は行動計画を作成することが求められる。特に、「要件を満たしていない」と判定された機関に対して、QAAは行動計画を遂行できるよう支援するほか、進捗について確認する。

今回の訪問調査では、受審した30機関のうち20機関が「要件を満たしている」、10機関が「要件を満たしていない」と判定された。なお、訪問調査に当たり、92人の評価者(うち25人は学生)の研修を行った。

既存の代替プロバイダーに対する評価について

公的補助を受給していない高等教育機関(代替プロバイダー)が、教育省に公的な学生ローンの受給資格を申請する場合や、内務省に留学生の受入れの希望を申請する場合には、QAAが実施する「高等教育レビュー(Higher Education Review)」と呼ばれる評価を受けなくてはならない。2016-2017年度にQAAは、代替プロバイダーを対象に156件の高等教育レビュー(年次モニタリングを含む)を実施した。代替プロバイダーに対する前年度の高等教育レビューの概要についてはこちらの記事(本サイト2017/5/16投稿記事)を参照のこと。

※ 詳細は「諸外国の高等教育分野における質保証システムの概要『英国』追補資料」のp5-p8を参照のこと。

原典:QAA(英語)

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