韓国教育部が大学情報公開の分析結果を発表

我が国の高等教育に関する政府の審議会である中教審大学分科会将来構想部会において、平成30年6月28日「今後の高等教育の将来像の提示に向けた中間まとめ」が取りまとめられた。その中で、教育の質の保証と情報公表に関する方策として、各大学が大学の基本的な情報を公表するよう義務付けること、また認証評価においてその情報を積極的に活用することが示されている。一方、韓国では認証評価制度開始に先立つ2007年より教育機関の情報公開に関する法令が整備されており、評価制度においても公開された情報が利用されている。

韓国における大学の情報公開

韓国教育部と韓国大学教育協議会(KCUE)は2018年6月29日に「大学情報公開の結果(2018年6月)」を発表した。韓国では、高等教育機関※1が定期的に運営状況等に係る情報を公開するよう法令※2で義務付けられており、KCUEの大学情報公開センターが運営するウェブサイトを通じて公表している。これは学生・企業・政府等のステークホルダーが進学先選択や産学連携、政策実施に活用することを目的としている。公開する内容は大学運営、学生、教員、産学連携に係る状況など14分野62項目に及び、この情報はKCUEの実施する大学機関別評価認証の根拠資料にも利用される。

※1 今回の情報公開における対象は大学224、専門大学148、大学院大学46の計418大学
※2 教育関連機関の情報公開に関する特例法(2007年5月制定)及び同法施行令(2008年11月制定)
2018年6月公開の分析結果

また、一部の情報・指標データについては定期的(4、6、8、10月)に公表されており、公開に合わせて教育部及びKCUEによる分析※3がなされている。今回は産学連携の状況、新入生選抜の結果、非常勤講師の給与について発表された(なお、2018年4月公表分には、履修学生数20人以下の小規模講座の割合、専任教員が担当する講義の割合、授業料の情報を分析・公開)。

※3 分析については4年制大学のみが対象

①産学連携の状況

2017年に学生が起業した企業数は1,154件で2016年の924件に比べ24.9%増加した。また、2017年に大学が実施した起業に関する講座数、及び履修者も2016年の5,185講座、209,086人から2017年の5,765講座、228,151人へとそれぞれ増加している。

②新入生選抜の結果

機会均衡選抜※4の結果について、2018年における全大学の入学者339,723人のうち、機会均等選抜により入学した者の割合は10.4%(35,212人)で、2017年の9.7%(33,070人)に比べ0.7%上昇した。

※4 韓国の入学選抜は一般的な「定時募集」とそれ以外の「随時募集」に大別され、「随時募集」には基礎生活受給者、特性化高校(職業高校)卒業者、農漁村地域の学生等を対象とした教育機会均等を目的としたものがある。

③非常勤講師の給与

2018年前期の非常勤講師時間給の平均は一時間当たり59,500ウォン※5で2017年の58,100ウォンに比べ2.4%上昇した。なお、国公立大学の平均は72,100ウォンで、私立大学は54,300ウォンであった。

※5 時間給は、等級別の時間単価に等級別講義時間数を乗じて、総講義時間数で除して算出。1ウォンは約0.1円

原典:韓国教育部(韓国語)、文部科学省

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