※2020年9月28日、最新の情報に更新しました。
2018年6月5日、大学の多元的世界ランキング「U-Multirank」の2018年版が公開された。U-Multirankは機関別及び学問領域別の2つの段階において、教育・学習、研究、知識移転、国際性、地域貢献という5つの多様な分野から、利用者本位で選んだ指標に基づく大学の比較を可能にしている点に特徴がある。(参考:前年度記事(本サイト2017/5/31投稿記事))
その中でもU-Multirankが選んだ9つの指標での各トップ25大学は「Top Performing Universities」として紹介されており、日本の大学もランクインしている。
U-Multirankの特徴
- 2018年版は95カ国、1,614の大学を網羅した。大学のU-Multirankへの参加は任意であり、無料。
- 世界大学ランキングで初めて、すべてのデータへのオープンアクセスを可能にした。利用者は機関別及び分野別のデータのコピーをダウンロードできる。
- 2018年版では新たに「ジェンダーバランス」を指標の一つとして採用。
指標別トップ25大学
後述の9つの指標のうち、日本の大学は「研究論文数(絶対数)」、「企業との共同研究による論文」、「特許数(学生1000人あたり)」の3つで25位以内にランクインしている。概況は2017年(本サイト2017/5/31投稿記事)と大きくは変わっていない。
「研究論文数(絶対数)」:東京大学
「企業との共同研究による論文」:
福岡女子大学、横浜国立大学、名古屋工業大学、大阪府立大学、東京農工大学
「特許数(学生1000人あたり)」:東北大学、豊橋技術科学大学
9つの指標及び各指標のトップ25大学の概況については以下の通り※。
※(注)国ごとにU-multirankへの大学登録状況は異なる。日本の大学からは42校がU-multirankに登録している。
研究論文数(絶対数)
昨年度に引き続き米国の大学が数多くランクインしている(11校)。アジアは中国(4校)、日本(1校)、韓国(1校)。日本の大学では東京大学がランクイン。
高被引用論文
この指標は国際的な研究卓越性を測る指標で、同じ分野かつ同じ年の被引用数の多い論文の上位10%に、対象大学から発表した論文が入っている割合を比較する。米国(15校)、英国(7校)の大学が多くランクイン。昨年に引き続き、アジアには研究論文数で高いスコアを出す大学がある一方で、被引用数の指標ではトップ25のランク外。
学際的研究の論文
この指標は、各大学の論文の参考文献一覧に他分野の論文を記載している程度を比較する。昨年に引き続き、トップ25には特定の国や学問分野に偏らず、多様な大学がランクイン。アメリカや日本の大学はランクインしていない。
企業との共同研究による論文(大学の研究論文数に占める割合)
国別にみると日本が最も多い(福岡女子大学、横浜国立大学、名古屋工業大学、大阪府立大学、東京農工大学)。日本以外はすべて欧州の大学。
特許数(学生1000人あたり)
米国(15校)が最も多い。日本の大学では2017年に引き続き、東北大学と豊橋技術科学大学がランクインしている。
専門職継続教育プログラムによる収入(大学の歳入全体に占める割合)
この指標では、専門職継続教育プログラム※を市民・企業に対する知識移転の機会ととらえている。トップ25は18の国に分散しているが、日本の大学はランク外となった。また、25大学のうち、8校はビジネススクールである。
※専門職継続教育プログラム:社会人を対象にした専門性の深化、技能の向上、労働力の成長等を目的とするプログラム
学生の流動性(受入留学生、派遣留学生、国際共同学位(ジョイント・ディグリー)プログラム学生の構成)
フランス(8校)、ドイツ(6校)、英国(6校)と欧州の大学が多い。トップ25にランクインした大学の約半分がビジネススクールか、ビジネス・経済を専門とする高等教育機関。日本の大学はランク外。
国際的な共同研究による論文(大学の研究論文数に占める割合)
トップ25にランクインしている大学は少なくとも75%の論文を海外の研究者と共同で執筆している。ランクインした大学の分布は16カ国と多様であり、国別で見ると最も多いのは英国(6校)である。一方、日本の大学はランク外。
地域の産業界との共同研究による論文(大学の研究論文数に占める割合)
欧州の大学が数多くランクイン(17校)。ただし、この指標のトップ25にランクインしている大学の多くは、研究論文数の絶対数は多くない。なお、11の大学が医療系の大学。日本の大学はランク外。
原典①:U-Multirank(英語)
原典②:U-Multirank(英語)
原典③:U-Multirank(英語)
参照①:U-Multirank(英語)