2018年8月22日、ニュージーランド資格機構(New Zealand Qualifications Authority:NZQA)はマイクロクレデンシャル(Micro-credentials)*をニュージーランドの教育・訓練制度として正式に認めた。これにより、学習者は時間とコストを効率的に使って、職業に直結する知識や技能を身に付けられることができるようになった。同時にNZQAは、マイクロクレデンシャルの取得に結び付くプログラム提供の申請を高等教育機関から受け付け、認可のための審査を始めている。
一般的に、学位取得を目指す学習よりもより細かく区切られた学習単位であり、個別に大学などの主体が認証したものとされる。詳細な定義は各国・地域で異なり、名称についてもバッジやナノディグリー等、様々である。ニュージーランドでは、マイクロクレデンシャルを資格よりも学習量の少ない単位で、技能の発展に焦点を当てたもので、かつ従来の高等教育では提供されていない学習と規定している。オーストラリアでは、バッジを集めることによって学位取得が可能な大学があったり(本サイト2015/9/3投稿記事)、オランダでは、マイクロクレデンシャルに関して資格連携協定という形で他の高等教育機関と連携している例もある(本サイト2017/1/19投稿記事)。
今回、NZQAにより認められたマイクロクレデンシャルは、2018年4月に実施した意見公募の結果や、2017年7月から2018年6月にかけて行われたマイクロクレデンシャルに関するパイロット事業を踏まえて制度化された。
意見公募では、マイクロクレデンシャルの導入によって、より細かく区切られた単位での学習が可能になったり、取得したスキルを蓄積して次の段階の学習等につなげることが促進されたりするといった意見が出され、特にエンジニア、教員、看護などの職業団体は、会員の職業上の能力維持を目的としたマイクロクレデンシャルの使用に興味を示した。
NZQAは、マイクロクレデンシャルは正規の学習にとって代わるものではなく、これまで高等教育で提供されてこなかった技能や知識のギャップを埋めることを目指すものであるとともに、学習者が複数のマイクロクレデンシャルを獲得した場合に、非高等教育機関(Non-Tertiary Education Organisations: Non-TEOs)による、単位互換や既習歴の認定という形で資格に結び付けることができる可能性も示した。
マイクロクレデンシャルの概要 ―社会のニーズに合った教育の提供へ
マイクロクレデンシャルの要素 | |
教育として認められるための要素 |
|
単位換算 | 単位:5~40単位 |
提供できる主体 |
|
管理方法 |
|
資格枠組や質保証との関係
現時点では、マイクロクレデンシャルは、NZQFには掲載されない予定である。一方で現在NZQFの見直しが行われており、その中でマイクロクレデンシャルも新たな資格枠組の中で考慮され、作業は早ければ2019年に完了する見込みである。
NZQAは、NZQFを根拠にマイクロクレデンシャルを単位やレベルに読み替える場合の同等を示す証書(equivalence statements)を、Non-TEOsを通じて発行するとしており、このサービスは2018年10月31日から開始する。
質保証に関しては、高等教育機関ではない国内外の機関がマイクロクレデンシャルの内容について審査するとしている。また、認可のための審査の段階においても、申請されたプログラムが最低基準を満たしているかの確認を行う。
原典①: New Zealand Qualifications Authority(英語)
原典②: New Zealand Qualifications Authority(英語)
参考 : New Zealand Qualifications Authority(英語)