イギリス:TEF2018の大学評価結果(金・銀・銅)公開ー授業料にも影響が

イギリスの学生局(OfS:Office for Students)は、2018年の機関別TEF(教育卓越性・学習成果評価枠組)※1を実施し、申請した126機関中、115機関※2(新規34件、再申請81件※3)がTEFの称号を獲得した。TEFへの参加は任意※4であるが、評価結果は学生局のサイトのみならず、入学申請に関する情報を提供するUCASやUnistatsのサイトでも公開され、学生が進学先を決定する際に参照されている。2018年はTEFが始まって3年目(TEF Year 3)である。

※1 正式名は、「Teaching Excellence and Student Outcomes Framework」。2017年に「Teaching Excellence Framework(教育卓越性枠組)」より改称。
※2 2018年6月6日に、学生局は113機関が2018年の称号を獲得したと公表したが、その後、受審機関からの異議申立てが認められ、8月に追加で2機関が称号を獲得した。
※3 81機関のうち、2017年に獲得したTEFの称号の有効期限が切れていた機関が50機関、有効期間内であった機関が31機関。TEFの有効期間は最長3年間であり、期間の長さは、TEFの判定に用いるデータを高等教育機関が何年間分用意できたかによって決定する。3年間の有効期間を付与されるためには、3年間分のデータを持っている必要がある。2017年の評価結果についてはこちら(本サイト2017/8/9投稿記事)
※4 高等教育機関が学生局へ機関登録(本サイト2018/9/11投稿記事)をする場合には、TEFの受審が必須(登録要件 B6)。初回登録の時点では、必ずしも受審していなくてもよいが、その場合次回のTEFへの参加は必須である。なお、高等教育機関が、公的な補助を受給する場合等には、学生局への登録が必要。

TEFとは?

TEFは、高等教育機関が国の質要件を満たしていることを前提として、イングランド地方を中心に、イギリスの高等教育機関の教育及び、学生が得られる成果の卓越性を測り、評価する制度である。TEF Year 2 (2017年)から、高等教育機関は評価結果に基づいて、上から金、銀、銅の順に格付けされるか、条件付きTEFの称号(完全なアセスメントをするにはデータが不十分であった場合)を付与される。高等教育機関は、TEFの称号を獲得すれば、授業料の上限を増額することができる

※最高で£9,250(2018年9月28日現在 約137.2万円)/年の授業料を設定できる。TEFの称号を獲得していない機関は、£9,000(2018年9月28日現在約133.4万円)/年が上限。

金・銀・銅の判定

2017年と2018年で、合わせて298機関がTEFの称号を獲得した。298機関の判定結果の内訳は、以下の表のとおり。

条件付き 合計
機関数 73 135 61 29 298

条件付きの称号を除くと、金27%、銀50%、銅23%という内訳になっており、この割合は2017年(金26%、銀50%、銅24%)とほぼ同じである
各大学の詳しい判定結果については、こちら(学生局のサイト)

なお、高等教育機関の中でも大学に限定した場合、2017年にTEFの称号を獲得した大学の中で、2018年にも再申請を行った大学は20大学あった。この20大学のうち、2017年と比べて、格付けをランクアップさせた大学は13大学であった。残りの7大学は前回の格付けを維持した(ただし、このうち2大学は2017年に最上位である金の判定を受けていた)。

※ 参加機関の20-30%が金、50-60%が銀、20%が銅となることが想定されている。ただし、この割合に配分することを理由に、各機関の判定結果が決まることはない。

指標について

TEFの評価者は、大学ごとにTEFの6つのメイン指標を測定し、格付けの判定を決める。以下の表は、メイン指標及び、各指標における高等教育機関全体の平均値(2018年、フルタイムの学生のみを対象)を示している。指標を測定する際には、公的なデータ、補足データ(可能な場合)、各高等教育機関からの追加提出物を用いる。

今後について:分野別TEF

学生局はTEF Year5(2019-2020年)から、機関別だけでなく、分野別のTEF(本サイト2017/10/10投稿記事)も実施する予定としている。分野別のTEFは、試行版がYear3からYear4にかけて実施されているが、開発途中であるため、個別の機関を特定する評価結果は公表されていない。

原典①:学生局(英語)
原典②:学生局(英語)
原典③:教育省(英語)
原典④:HEFCE(英語)

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