中国:進む職業教育の質保証 ー 内部質保証制度の構築に向けて

中国政府は、「中国製造2025」*を支える人材の育成の質向上に向けて、機関別評価(本サイト2019/3/29投稿記事)を行い、外部質保証の強化を図る一方、2015年から内部質保証制度として「職業教育学校の教育診断・改善制度(原語:职业院校教学工作诊断与改进制度)」の構築にも取り組んでいる。

*「中国製造2025」:習近平政権が中国の製造業の高度化を目指し、次世代情報技術や新エネルギーや自動車などの重点分野を設定した2015年5月に発表された産業政策。第一段階として、2025年までに「世界の製造強国の仲間入り」をするとの目標を掲げている。

2015年に国務院から、「国務院現代職業教育の発展加速に関する決定(原語:国务院关于加快发展现代职业教育的决定)」が発表されたことを皮切りに、内部質保証制度の構築に関する政策文書が次々と発表された。同年教育部からは、「職業学校教育診断・改善制度の通知(原語: 教育部办公厅关于建立职业院校教学工作诊断与改进制度的通知)」が出され、実施方法が示された。

「職業教育学校の教育診断・改善制度」

学校は自ら定めた学校運営の理念、人材育成目標、専攻の設置、カリキュラム改革、教授法、学校管理、産学協力、質のモニタリングなどといった人材育成面における様々な問題の発見と改善を行うとしている。

学校が人材育成の質保証の責任主体としての自覚を深め、学校運営の全ての面に関して周期的な自己診断と自己改善を行い、内部質保証システムを確立することを目指している。

職業学校は、校内に「人材育成実施状況データ管理システム(原語:人才培养工作状态数据管理系统服务平台)」を構築し、そのデータを基に、学校は自主的に診断と改善を行い、教育行政部門が必要に応じて実施状況を確認するための審査を行うことで職業学校の人材育成の質の継続的向上を図るとしている。

各学校の内部質保証システム構築を支援するために、様々な研修が各地で実施されているほか、教育部による「職業教育学校の教育診断・改善制度」専用サイトが設置されており、政府の政策文書や、地方における当該制度の実施計画、職業学校質保証担当者向けの研修情報、関連資料など様々なコンテンツが掲載されている。

各職業学校は、最低3年に1度の自己診断・自己改善の実施が義務付けられ、それを基に、各省レベルの教育行政部門が3年に1回全体の1/4以上を抽出して審査を行う。

原典:

  1. 教育部办公厅关于建立职业院校教学工作诊断与改进制度的通知
  2. 高等职业院校内部质量保证体系诊断与改进指导方案(试行)
  3. 关于成立全国职业院校教学工作诊断与改进专家委员会的通知
  4. 职业教育诊改网
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