欧州諸国の大学評価結果のデータベースであるDEQAR(Database of External Quality Assurance Results)が、2018年5月の開設以来、データベースへの評価結果報告書の掲載件数やそれらを提供した質保証機関の数が増加し続けている。2020年2月には新プロジェクト「DEQAR CONNECT」がエラスムス・プラス助成プロジェクトに採択され、DEQARの参加国の拡大や掲載情報の活用をさらに推進していくことが計画されている。
■ 拡充続くDEQAR
DEQARは、EQAR(欧州質保証機関登録簿)に登録された欧州各国の質保証機関が、高等教育機関に対して実施した外部質保証(評価)の結果と報告書を集約したデータベースである(本サイト2018/6/7投稿記事)。エラスムス・プラス等の助成・支援を受けて開発・運営が進められてきた。
DEQARの開設当時(2018年6月)と2019年10月時点の状況を比べると、評価結果等の情報提供を行った質保証機関は、8機関から32機関の4倍増となった。評価報告書の掲載数も、3,194件(2018年10月)から46,136件(2019年10月)と急増している。国内の評価報告書の60%以上を掲載している国は、フランス、ドイツをはじめ14か国・地域に及んでいる。
【例】ドイツ: 掲載報告書の大部分は自国の質保証制度であるプログラム・アクレディテーション及びシステム・アクレディテーションの報告書であるが、EUR-ACEラベル(欧州の工学系高等教育プログラムの質保証制度[本サイト2015/12/17投稿記事])などの欧州レベルの質保証制度に基づく評価報告書も掲載されている。
■ DEQAR CONNECT
新たにエラスムス・プラスに採択された「DEQAR CONNECT」(Enhancing the Coverage and Connectivity of QA in the EHEA through DEQAR)は2020年2月に発足し、欧州各国の質保証機関や資格評価団体(計21機関)が参画する。プロジェクトの正式名称にあるとおり、「Coverage(拡充)」と「Connectivity(連携)」を強化し、EHEA(欧州高等教育圏)における質保証と資格承認の取組を推進していくことを目的とする。
- 「Coverage」:DEQAR未参加の質保証機関の参加を推進し、データベースのさらなる拡充を目指す。
- 「Connectivity」:資格の承認の実務やデジタル資格を扱う場面など、DEQARの新たな利用機会を開拓し、DEQARとの連携を強化する。
これまでDEQARは、EHEA構想において欧州域内の教育連携や資格承認を推進するための質保証の基盤として、欧州各国の外部質保証に関する情報の透明化と信頼性の担保に取り組んできた。その中でも、今回の新プロジェクトではDEQARが資格承認に対して実質的な貢献を図っていくとの強いメッセージがうかがえる。