欧州等、コロナ禍での大学入学―出願要件や評価方法の変更も:54か国への調査

新型コロナウイルスの感染拡大は、秋に新年度を迎える国が多いヨーロッパの中等教育修了と高等教育入学にどのような影響を与えているか。2020年6月にリスボン承認規約(Lisbon Recognition Convention)の各締約国に対して実施されたアンケート調査「Situation of upper secondary school leaving qualifications due to the Covid-19」の2回目調査が2021年3月に行われ、2021年9月16日に結果が公表された。

調査の目的

このアンケートは、規約の各締約国が設置する国内情報センター(NIC)のネットワークであるENIC-NARICネットワークが企画したもので、コロナ禍での対応としてネットワークが掲げる5つの目標*を達成するために行う取り組みの1つ。欧州NICネットワーク(ENIC)事務局と学術承認情報センター(NARIC)諮問委員会が取りまとめ役となり、各国の中等教育修了と高等教育入学に関する現状を調査した。
* 5つの目標:①資格承認の支援のための新型コロナウイルスに関する情報の開示と共有、②新型コロナウイルスにより阻害された学習に対する公正な承認の支援、③対話の設定と専門家による支援、④状況のモニタリング、⑤対策(対応)の透明性

2020年の調査結果

2020年6月に行われた1回目のアンケート調査の結果は2020年8月に発表された。規約締約国54か国中34か国から回答があり、そのうち18か国と1つの国際資格において、2020年と2019年までと比較し、全国試験等の延期や中止、試験範囲の変更、証書の発行や高等教育への入学時期の遅れなど、様々な変更が生じていたことが報告された(本サイト2020年9月24日掲載記事)。

2021年の調査結果

2021年3~9月に行われた2回目のアンケート調査では、1回目の調査の時と同じ質問に対して、規約締約国54か国中42か国から回答があり、そのうちの17か国と1つの国際資格で例年とは異なる対応がとられていることが報告された。ただし、異なる対応があった国が回答国に占める割合は1回目アンケートの53%から40%に低下した。今回の調査で挙げられた主なものとしては、中等教育修了と高等教育入学の要件の変更、中等教育修了証書交付の遅れ、全国試験等の延期や中止、試験範囲や評価方法の変更、高等教育機関の入試の実施方法や出願要件などの変更である(表1参照)。

例えば、ウクライナでは、中等教育修了と高等教育機関入学には全国共通試験(SFA)の合格が要件となっているが、2019/2020年度と2020/2021年度についてはSFA合格が要件から除外された。また、チェコでは、中等教育修了のための最終試験(筆記と口述)の日程が半月程度延期されたことに伴い、中等教育修了証書の交付が遅れた。オーストリアでは、2020年の最終試験の口述試験は範囲を狭めたものの必須であったが2021年は受験が任意となり、成績評価には以前の試験結果が用いられることとなった。高等教育機関への出願方法については、ルーマニアの複数の大学でオンラインによる出願に変更した。また、エストニアでは2021年は全国共通試験の受験や合格は高等教育機関への出願要件になっていない。

一方、2020年の調査で報告のあった「夏季の補習実施」(2か国)については、今回の調査結果で該当する国は見られなかった。

表1:新型コロナウイルス感染拡大による各国の中等教育修了と高等教育入学への影響(調査期間:2021年3~9月)の調査結果

中等教育での成績評価方法の変更アイルランド
中等教育修了要件の変更ウクライナ
中等教育の修了・高等教育機関への入学の遅れアイルランド、ドイツ、リトアニア
中等教育修了証書交付の遅れ・交付方法の変更チェコ、フィンランド
全国試験等の中止・代替措置の設定や変更イギリス、ドイツ(一部の州)、ノルウェー、フランス、国際バカロレア
全国試験等の延期・日程変更・評価方法の変更アイルランド、オーストラリア(一部の州・準州)、オランダ、チェコ
全国試験等の範囲の変更オーストリア、サンマリノ、ポーランド、ルクセンブルグ
高等教育機関の入試の実施方法、成績評価方法の変更ノルウェー
高等教育機関の出願手続き、出願要件等の変更ウクライナ、エストニア、オーストラリア、チェコ、ドイツ、ルーマニア

※掲載した国の中には、上記が発生する可能性があると回答した場合も含まれている。
※リスボン承認規約はヨーロッパ以外の国(オーストラリアなど)も締結している。
※原典③の内容をもとにNIAD-QE国際課が作成

アジア諸国等のコロナ禍での教育制度動向

大学改革支援・学位授与機構の高等教育資格承認情報センター(NIC-Japan)は、日本の大学入学資格に関連する諸外国の教育制度・資格の動向、特にコロナ禍での学事暦や大学入試の変更等について、アジアを中心に14か国と1つの国際資格を対象に発信している。今回のアンケート調査の対象となっている、フランス(バカロレア)、イギリス(GCE-Aレベル)、国際バカロレアについても随時更新している。

新型コロナウイルス感染拡大に伴う日本の大学/専門学校入学資格に関連する外国での学習・資格の動向

原典①:enic-naric.net

原典②:2020: Situation of upper secondary school leaving qualifications due to the Covid-19

原典③:2021-COVID-19_INFO_UPPER_SECONDARY_SCHOOL_EXAMS (enic-naric.net)

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