原典:英国政府(英語)
ブラウン・レビューとは、2009年11月から2010年にかけて行われた、英国の高等教育ファンディング及び学生財政支援システムに対する独立レビューである。レビューのチェアであるLord Browne of Madingleyの名をとり、「ブラウン・レビュー」として知られている。高等教育の授業料ポリシー、大学の学部及び大学院課程のフルタイム及びパートタイム学生に対する財政支援システムを中心に、英国の高等教育制度について政府に提言を行うことを目的としている。学生、教員、学識経験者、雇用者、高等教育質保証機関関係者等に対して書面及び面接による調査が実施された。レビューの成果は、ブラウン報告書(原題:Securing a sustainable future for higher education)にまとめられ、2010年10月に発表された。
本報告書における提言の骨子は以下の通り。
- 英国高等教育の国際競争力を高めるため、国民は高等教育に対しより多くの投資を行わねばなら
な い。これには学生が支払う学費の値上げも含む。 - 学生主体の高等教育制度作りを進める。学生の需要に応じた入学システム、主体的な進学先選択
に資する情報公開の推進など。 - 高等教育への参加機会均等を推進する。経済的事情で進学できない学生の数を減らす。高等教育
機関の評価においては、fair accessへの取組状況がチェックされる。 - 学費の支払いは、就職し一定の額の収入を得るようになるまで猶予される。
- パートタイム学生の学費納入システムを改善する。現行の学費前払いシステムを廃止、より多くの学生がパートタイムで高等教育に参加できる仕組みを作る。
英国の高等教育質保証システムについては以下の提言がなされた。
- 英国の高等教育エージェンシーの改革:HEFCE(イングランド高等教育財政カウンシル)、OIA(学生からの苦情や意見申立てを審理し、問題解決を図る公的な独立機関)、OFFA(高等教育への進学の公平性、参加機会均等を推進する公的な独立機関)及びQAAを統合しHigher Education Council: HEC(英国高等教育カウンシル)を新たに設置、政府及び高等教育機関から中立的な立場をとる機関としてファンディング、苦情処理、教育参加、質保証に関連する業務を一元的に行うことを提言。
- QAAの質保証業務はHECが引き継ぐ。
- 最低限満たすべき教育の水準について、HECは高等教育機関に徹底させる。