海外へ進学する留学生が15%の増加-日本は留学先第3位-

原典:ICEF Monitor Number of Vietnamese students abroad up 15% in 2013(英語)

ベトナムでは2006年以降に海外へ進学する留学生が著しく増加しており、ベトナム教育訓練省(The Ministry of Education and Training: MOET)は125,000人の学生が2013年に海外で学んでいると報告した。これは前年の2012年から15%増加しており、2008年以降の増加率では最も大きな伸びを記録した。

中等教育および中等後教育におけるベトナムからの留学先上位国・地域(2013年)

留学先
1 オーストラリア   26,015人(前年比+15.3%)
2 米国        19,591人(前年比+25.8%)
3 日本        13,328人
4 中国
5 シンガポール
6 フランス
7 台湾
8 英国
9 ロシア
10 ドイツ

ベトナムから海外へ進学する留学生の37%が豪州あるいは米国を留学先に選んでいる。特にベトナムの学生にとって米国の高等教育は人気が高いが、米国は、シンガポールや豪州のような他の国と比較すると、授業料が高額であることから、上記のような結果になっている。また、日本、中国、シンガポール、台湾に留学する学生も合わせて34%を占めている。なお、日本は不動の地位であった中国を抜いて3位になった。

近年のベトナム教育市場を取り巻く傾向や背景として、①ベトナムの25歳以下の若年層人口が45%に達しており、過去10年で海外へ留学する学生数が急増していること、②いったん留学すると、そのまま継続して海外で進学するケースが増加していること、③経済活性化と世帯収入の増加により、90%以上の学生が自己資金で留学しているが、その留学費用は各家庭で捻出していることがあげられる。

また、米国の中等教育段階における留学生について、ベトナムからの留学生数の増加を示す興味深い報告もある(Institute of International Education : IIE, 2014年7月)。それは、米国では、高等教育への新しい進学手段として、中等教育段階への留学生数が2004年秋から2013年秋の10年で3倍以上増加しており、留学生の数は73,019名、そのうち48,632名(67%)の学生が中等教育段階の卒業資格を目的として入学しているという内容のもの。

IIEの報告によると、約49,000名の米国への留学生のほとんどは、中国や韓国などアジアからの学生(内46%は中国人学生)であるが、ブラジル、タイ、ベトナムなどのような新興成長市場国からの留学生も重要なウェイトを占めている。ベトナムからの中等教育機関(high school)への留学生は3.1%で6位、中等後教育では2.0%で8位にランクしており、中等教育段階において、東南アジアからの半数はベトナムからの留学生であった。同様に、豪州においてもベトナムからの留学生は10.3%と、中国についで2番目の市場である。

この報告からベトナムにおいて次のことが予想される。

  • ①ベトナムの家庭は、アジア市場、とりわけ中国にみられる傾向と同様に早い段階から子供を海外へ留学させる傾向がある。
  • ②主な留学先でのベトナム人中等教育段階の卒業生の増加により、さらに多くの新たな中等後教育機関の需要が高まる。

ベトナムは今日の主要な新興成長市場であり、中等教育段階での留学拡大と共に留学生数全体の増加傾向が続けば、ここ数年のうちに、豪州や米国のような主要な留学先だけに限らず、他の国においても、教育の質や授業料を勘案して、留学する価値を示すことができれば、ベトナムにとってより重要な留学生の受入先となりうると、ICEF Monitorの記事では伝えている。

カテゴリー: ベトナム タグ: パーマリンク

コメントを残す