新型コロナウイルスに対するベトナムの高等教育の対応―オンライン教育の促進、統一試験実施日の変更

新型コロナウイルスが世界的に感染拡大する中、世界各国の教育現場では教育機関の閉鎖やオンライン授業への切替え等、様々な取組みがなされている。ベトナムにおいても、高等教育機関におけるオンライン授業の促進や高等教育機関への進学のための統一試験の日程の後ろ倒しといった対応が図られている。

教育訓練省がオンライン授業等に関するガイドラインを発表

ベトナム教育訓練省は2020年3月13日に、大学をはじめとする教育機関等に対してオンライン教育および遠隔教育に関するガイドライン(ベトナム語)を発表した。オンライン教育に適切な手段、内容や授業単位を定め、教育の質を確保することを目的としたものである。

これに対し、ベトナム国家大学ハノイ校は、政府から出されたガイドラインを基に大学独自の実施方針をまとめ、質が確保されたオンライン授業を展開するとともに、通常の教育体制に戻った際にオンライン教育の不足分を補充することや多様な電子教材の開発といった対策を挙げている。また、ロイヤルメルボルン工科大学ベトナム校(RMIT)も事態が落ち着くまでの授業を全面的にオンラインで提供するとしている。

なお2020年3月時点では、ベトナムの240大学のうち、92大学がオンライン教育を採用しているが、残りの大学でもオンライン教育の早期実施に向けて準備が進められている。

また、教育訓練省と情報通信省は、教育機関を支援するための方策を講じていくことに合意し、教育訓練省が認めた授業について情報通信省傘下の機関による無料放送、学生等に対するオンライン教育に関するデータ通信料金の無償化などが挙げられている。

高等教育機関への進学のための統一試験も日程を変更

ベトナムでは高等教育機関への進学を望む者は高等学校卒業時に、中等教育修了と高等教育機関入学のための統一試験である全国中等教育修了試験 (Kỳ thi trung học phổ thông quốc gia)を受験する必要がある。多くの高等教育機関は全国中等教育修了試験の結果を使用する。

全国中等教育修了試験は毎年7月に実施されているが、今年は新型コロナウイルスの影響により、8月8日~11日に実施することが発表されている。Nguyen Van Phuc副大臣によれば、高等教育機関への学生の入学は、通常であれば7月下旬から12月にかけて行われることになっているが、実際には11月上旬までには終了しているため、今回の試験日程の変更に伴う学生の入学期間は8月末から12月となるが影響はなく高等教育機関は対応できるとしている。

また高等教育機関によっては、全国中等教育修了試験の結果を使用せずに入学決定するため、そのような機関は学生の入学について柔軟な取組みが可能であるとしている。

原典①:Ministry of Education and Training(ベトナム語)
原典②:Ministry of Education and Training(英語)
参考①:Viet Nam News(英語)
参考②:Vietnam National University Hanoi(ベトナム語)

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