オランダNVAOが学習成果の測定に関する報告書を公開

原典: オランダ・フランダースアクレディテーション機構(NVAO)

オランダ・フランダースアクレディテーション機構(De Nederlands-Vlaamse Accreditatieorganisatie:NVAO)は2015年10月に「ピア・ラーニング・アクティビティ(PLA:Peer Learning Activity)」*の一環として「ピア・ラーニング・イベント」を開催し、報告書「Assessment and Demonstration of Achieved Learning Outcomes: Recommendations and Good Practices」を公開した。同報告書では、達成された学習成果の評価とその示し方に関する5つの推奨事項、また関連する優良事例を紹介している。

学習成果に関する推奨事項

  1. 所期の(intended)学習成果と達成された(achieved)学習成果を1枚のコインの裏表の関係と捉えること
    • 学習成果の測定システムは、通常の教育内容の改善の中で導入し、学習成果の定義を明確にするためにも、わかりやすい法則を用いること。また、この定義の設定にあたっては、学生の立場に立った、測定可能なものとすること。
    • 学習成果の設定にあたっては、プログラム内の重要な要素を確実におさえること。ただし、詳細すぎる設定は避けること。
    • 学習成果の設定にあたっては機関内(教員、学生)のみならず、機関外部の関係者(当該分野の専門家や将来的に学生を雇用する人物)を含めた全てのステークホルダーが関わること。
    • 教育内容と測定システムの構成は、所期の学習成果に沿ったものであること。
    • 「短期間のプログラム」、「学部段階のプログラム」及び、「修士段階のプログラム」における学習成果の差を調節すること。より低次の段階の学習成果を定める際には、より高次の学習成果を簡単にしたものではなく、各段階に合わせて定義すること。
    • 専門性が高まることによって、学習成果の設定は細密なものになりがちである。教員や革新的な教育のための自由度を確保しておくこと。
    • 総合的、横断的な能力に着目すること。それらは汎用的で特定の学習成果と結びつかないため、特定の分野の能力として分類することが難しい。これは既存の知識や技能との統合が必要な「21世紀型能力」にも当てはまる。
  1. 学習成果の測定システムは教育の発展・改善のためのツールとして用い、目標としては用いないこと
    • 学習成果の測定は「生きた」ツールであり、カリキュラム、コース、教育、学習、測定を基に形成されている。行政上の義務として行うのではなく、関係するグループが、共同で学習成果を定義づけて導入するものである。
    • 設定される学習成果は、外部の資格枠組、専門家の期待、教員・機関の自治に適するようバランスよく調整すること。
    • 学習成果には、知識や技術、労働市場の需要の変化により、時代遅れになるものもあるため、定期的に学習成果の設定を更新するべきである。
  1. 学習成果を国内の資格枠組及び、国際的な資格枠組と結びつけること
    • 学習成果は学生にとって就職や進学に繋がる手段として捉えること。
    • 国内の資格枠組だけでなく、国際的な資格枠組と結びつけることにより、学習成果を国際的にも互換性があるようにすること。
    • 学習成果を資格枠組と摺合せたり、ベンチマーキングすることによって教育の革新や新たな知識分野の探究を妨げてはならない。
  1. 質保証システムは学習成果の測定を促進・改善するためのツールとして用い、管理のためには用いないこと
    • 教員がプログラムに対する監督権限を失ったと感じないように、外部質保証では学生の卒業プロジェクトや論文の成果測定を規制すること。外部評価者は学生個人の成果測定を教員と重複して行うのではなく、所期の学習成果全体の達成状況に焦点を置くべきである。
    • 学生の態度や人格の形成のような学習過程における側面に着目し、内部質保証における学習成果の結果をバランスよく考慮するよう留意すること。
  1. 達成された学習成果の測定や表示方法は学生中心の学習成果という概念に従って行うこと
    • 成果の測定方法について、ピア評価または共同評価などの手法により行い、所期の学習成果及び教育・学習形式と合致させること。
    • 学生志向の測定方法の開発にあたっては、教育が学生中心の学習に移り変わっていることから、学生の習得事項よりもカリキュラムを評価するといった教員志向のアプローチは避けること。
    • 学生の学習態度のように、学習プログラムの中には簡単には成果を測定できないものが多くある。学生の能力や知識に焦点を当てるだけでなく、学生自身や社会にとって価値のある他の側面も適切に評価できるように留意すること。
    • 測定システムの設計にあたっては、有効な方法と基準を用いるべきである。当該制度の導入がもたらす問題を過小評価しないこと。
    • 測定の有効性を高めるため、外部の評価者をより広く用いるべきである。

*「ピア・ラーニング・アクティビティ(Peer Learning Activity)」
EHEA(欧州高等教育圏)における質保証機関や高等教育機関が一体となって、知識や優良事例を共有し、学習成果の測定とその表示方法に関するガイドラインの作成を目的としている。
2015年10月のイベントは、オランダ教育・文化・科学省、エラスムス+及び、EP-Nufficとの協力で行われた。

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