欧州におけるモビリティの進展状況が一目でわかる―Mobility Scoreboard

原典: 欧州委員会(英語)

2016年12月、欧州委員会(EC)は欧州各国におけるモビリティへの取組みの状況を提供するウェブサイト「Mobility Scoreboard」を更新した。同サイトは、欧州連合理事会の勧告「2011 Youth on the Move Recommendation」を受けて、学習モビリティを促進することを目的として2014年1月に公開されたもの(本サイト2014/3/31投稿記事)で、欧州各国のモビリティの進展状況が一目で分かるようになっている。ECは同サイトの指標が各国のモビリティの障害を特定し、障害を克服する上で役立つとしている。

高等教育分野および職業教育分野における指標は下記の項目から構成されている。

高等教育分野における指標(Eurydice作成)

  • 情報提供とガイダンス(Information and guidance)
  • 外国語の準備(Foreign language preparation)
  • 学生支援の適用範囲(Portability of student support)
  • 不利な立場にある学習者(Disadvantaged learners)
  • 学習成果の(ECTSを通じた)認証(Recognition of learning outcomes)
  • 資格の認証(Recognition of qualifications)

職業教育分野における指標(欧州職業訓練開発センター(Cedefop)作成)

  • 情報提供とガイダンス(Information and guidance)
  • 行政上、機関上の課題(Administrative and institutional issues)
  • 学習成果の認証(Recognition of learning outcomes)
  • パートナーシップと助成(Partnerships and funding)
  • モビリティの動機(Motivating for mobility)
  • モビリティへの長期的な準備(Long-term preparation for mobility)
  • モビリティの質(Quality of mobility)

指標から読み取れる主な状況

  • 各国が行う情報提供の状況について、同一国でも高等教育と職業教育で状況が異なっている場合がある。高等教育分野ではフランス、ドイツが相対的に進んでいる一方、職業教育分野ではスウェーデン、フィンランドが進んでいる。
  • 学習成果の認証では高等教育分野について、欧州単位互換制度(ECTS)(参照:NIAD-QE国際連携ウェブサイト)を用いて、各国における学習成果の認証状況を紹介する。ECTSの普及率については、ドイツ、ポルトガル、ルーマニアが相対的に高い。一方、職業教育分野については、学習成果の認証に関する規定整備、認証に至るまでのタイムライン設定や欧州連合(EU)のツール(欧州職業教育訓練単位制度(ECVET)や欧州資格枠組(EQF)(参照:NIAD-QE国際連携ウェブサイト)、Europass等)の全般的な普及の状況など7つの基準により判定しており、ドイツ、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドが相対的に高い。
  • 高等教育分野における資格の認証について判定するための指標として、他国における資格の認証状況や自動認証の進展度が挙げられており、アイルランド、ノルウェー、スウェーデン、ポーランドが相対的に進んでいる。実際、北欧5ヵ国3地域では当該地域において高等教育資格の自動認証(本サイト2016/12/16投稿記事)を目指すという動きもある。
  • 職業教育分野におけるモビリティの質については、質の改善に対する学生や関係者の関与度や他国との間を行き交う学習者への支援の状況、国レベルでの質に関する取組みの状況やその取組みに対する評価の有無など5つの基準により判定されている。スウェーデン、イタリア、バルト三国が相対的に進んでいる。
  • 東欧諸国は全体的にどの分野においても取組みが相対的に進んでいないとみられる。


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