欧州の見習い制度のための連帯(EAfA)の取組状況

欧州における職業教育訓練分野の流れ

  • 欧州では、2002年から、コペンハーゲンプロセスを通じて職業教育訓練(VET:vocational education and training)分野の促進に取り組んでいる。
  • 現在、2010年に合意した「ブルージュ・コミュニケ」の内容を改訂した2015-2020年の中期的目標(本サイト2015/7/13投稿記事)が設定されている。
  • また、2016年には、包括的な「欧州における技能計画」(本サイト2016/8/30投稿記事)を策定し、その中で「VETのプライオリティーを高める」とし、2017年5月には欧州資格枠組み(EQF)の改訂(本サイト2017/6/29投稿記事)が行われた。

 

欧州委員会(EC)が、若年層の失業問題を解消するため2013年に開始した「欧州の見習い制度のための連帯(EAfA:the European Alliance for Apprenticeships)」について、その4年間の活動報告書「Good for Youth Good for Business European Alliance for Apprenticeships」を公開した。なお、2017年3月現在、EAfAには35カ国、200以上の団体(pledges)が参加しており、開始からこれまで50万人以上の若者に職業訓練の機会を与えてきた。EAfAは、以下の4つの役割(Supply, Quality, Image, Mobility)を果たすことを目的としており、2016年に行った参加団体への調査では、98%の団体が以下4つの役割のうち少なくとも1つの役割を果たしたと回答している。
・Supply:学生への見習い制度の機会提供
・Quality:見習い制度の質向上
・Image:見習い制度に対する世間のイメージの改善
・Mobility:見習い制度のモビリティ促進

各国における見習い制度の取組み

ドイツ
ドイツでは、2015年から2018年にかけ、デュアルシステムの改善及び強化を図ることを目的に、省庁、企業(social partners)、議会、公的雇用サービス等が先導的に職業訓練の提携を行う「the Alliance for Initial and Further Training 2015-2018」に取り組んでいる。これまでの提携として、連邦雇用庁(Federal Employment Agency)における研修を大幅に増やしてきた。また、新たな取組みとして、若者が企業別職業訓練を修了するための支援や、若年層の難民に対する特別支援を実施している。

スペイン
スペインでは、質の高いデュアルシステムの実施を目的とし、450以上の企業や教育機関が属する国内ネットワーク「the Spanish Alliance for Dual Training」の枠組みのもと、ドイツ最大の財団であるベルテルスマン財団が協力・調整を行い、見習い制度に関するフォーラムや研修の開催や、見習い制度を導入済の大企業と未導入の中小企業が連携する仕組みを作り、中小企業における見習い制度導入支援等を行っている。

ノルウェー
2015年、本来見習い制度を利用できる約9,000人の学生が各々に適した見習い制度を利用できなかったため、2016年、ノルウェー政府と企業(social partners)は、見習い制度を利用できる全ての学生と制度を繋ぐという社会契約を交わした。

なお、本報告書においては言及はないが、イギリスでは見習い学位(Degree Apprenticeship)制度の活用が拡大傾向(本サイト2017/4/5投稿記事)にある。見習い学位制度とは、企業が従業員の技能向上を目的に教育機関と協力して訓練を提供するものである。「見習い」となる従業員は、就労と学習を並行させ学士号や修士号の取得を目指し、費用は企業や国が負担する。また、イギリス政府は、2017年5月から全国の企業に対して「見習い税(Apprenticeship Levy)」を導入しており、今後ますます見習い学位制度が発展していくことが見込まれる。

※デュアルシステム・・・学校教育と職業教育(就労・実務体験)を同時に進める制度のこと。

原典:欧州委員会(EC)(英語)

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