ドイツ:新たなアクレディテーション制度に関するモデル法令が制定

各州常設文部大臣会議 (Die Kultusministerkonferenz: KMK)が、2016年12月8日に合意された高等教育の学習課程における教育の質を保証するための共通のアクレディテーション制度の組織等に関する州間協定(本サイト2017年3月15日投稿記事)第4条(1)~(4)に基づくモデル法令を、2017年12月7日に制定した。本法令では、州間協定に記されたアクレディテーション基準や手続き等の詳細が規定されている。また、今回の制定により、州間協定が2018年1月1日から効力を有することとなる。

法令制定の背景

2016年2月、連邦憲法裁判所(Bundesverfassungsgerichts)が、アクレディテーションに係る内容や手続き等について、法律による規定が不十分であるとの判断を行い、各州に対し、2017年12月31日までに是正するよう勧告した。なお、今回の制定により本勧告が達成されたこととなる。

モデル法令のポイント

1. アクレディテーションの分業化
ドイツにおけるアクレディテーション制度は、システム・アクレディテーション及びプログラム・アクレディテーションの2種類が存在し、高等教育機関は、どちらのアクレディテーションを受審するか選択することが出来る。制定前は、プログラム・アクレディテーション及びシステム・アクレディテーションは、アクレディテーション協議会(GAC)に認定されたアクレディテーション機関が一貫して実施してきた。しかし、今後は、両アクレディテーションのうち、適格認定の前段階にあたる評価プロセス(自己評価書の分析や訪問調査等)についてはアクレディテーション機関が担当し、アクレディテーション結果の最終的な決定を行う権限はGACに委譲されることとなった。

2. 新たなアクレディテーションの追加
これまで、高等教育機関は、システム・アクレディテーションまたはプログラム・アクレディテーションのどちらを受審するか選択することができたが、今後は、両アクレディテーションに加え、代替的アクレディテーション(Alternative Verfahren)が選択できるようになる。詳細については現在明らかになってはいないが、高等教育機関の選択肢の幅が広がることとなる。

3. アクレディテーション機関の認定
上述のとおり、アクレディテーション機関になるためには、GACの認定を得なければならなかったが、今後は、質保証機関のEQAR(欧州質保証機関登録簿)への登録をもってアクレディテーションを実施することが出来るようになる。つまり、EQARに登録されている機関であれば、ドイツ国内においてアクレディテーションを実施することができるため、国外のアクレディテーション機関が選択できるようになり、今後のドイツ国内におけるアクレディテーション市場の動向に注目が集まる。

なお、KMKの議長は、今後も連邦憲法裁判所(BVG)との対話を通じ、学界代表者のアクレディテーションへの更なる参画など、法的な視点からアクレディテーションの仕組みを強化していきたいとしている。

原典①:KMK(独語)
原典②:GAC(独語)

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