蘭:学生らの反対を受けフローニンゲン大学がオランダ初の中国ブランチキャンパスを断念

2018年1月29日、オランダのフローニンゲン大学理事会は、教育・文化・科学大臣に中国煙台(イェンタイ)キャンパス設置に係る計画書を提出しないことを決定し、事実上中国キャンパスの建設を中止することとした。理事会は中国キャンパスを実現したい意向を示していたが、学生と教職員の代表で構成されるフローニンゲン大学協議会の反対を受け、この度の決定をした。2017年2月に高等教育・研究法が改正(本サイト2017/6/2投稿記事)されて以降、オランダでは以前よりも容易に国際的な共同学位プロブラムを設置できるようになり、フローニンゲン大学煙台キャンパスはオランダ初の中国ブランチキャンパス(2018年9月開校を予定していた)として注目されていた。

中国キャンパス設置中止に至る経緯

フローニンゲン大学理事会が中国キャンパスの建設を決定するには、大学協議会の同意が必要である。大学協議会は、選挙によって選出された、学生代表(12名)と教職員代表(12名)の計24名で構成されており、理事会の監督と助言を行っている。

2015年からの約2年間の議論を経て、中国キャンパス設置計画の可否を問う大学協議会の投票は、当初、2017年8月に予定されていた。しかし、学生代表と教職員代表の過半数の反対を受けて、8月の投票は延期となった。その後、修正された計画案について2017年11月に大学協議会にて議論が行われたが、肯定的な意見はなかなか得られず、さらなる修正が要求された。理事会は2018年1月になっても反対派からの賛同を得ることができなかったため、中国キャンパス設置計画は中止されることとなった。

学生団体の一つであるLijst Calimeroは、中国キャンパスの設置に反対する理由として、提供される教育の質、授業料収入のみでの経営、中国での学問の自由の確保等に対する不安を挙げている。

フローニンゲン大学のコメント

中国ブランチキャンパス中止の決定を受けて、フローニンゲン大学の理事長であるSibrand Poppema氏は、「今回、理事会は、煙台(中国)でのフローニンゲン大学単独による学位プログラムの提供を断念した。近い将来、煙台でどのような別の形での協力が可能か、学部や学位プログラムとともに調査するつもりだ。」とコメントし、中国で教育活動を行う可能性を引き続き模索する考えを示した。

原典①:フローニンゲン大学(英語)
原典②:フローニンゲン大学(オランダ語)
原典③:フローニンゲン大学(英語)
原典④:Lijst Calimero(オランダ語)

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