マレーシアにおけるデュアル・アワードとは?—学位名称とその定義にも着目が必要!?

学位にはダブル・ディグリー、ジョイント・ディグリーなど様々な形態があり、これらの名称は国・地域によって異なるため、学位の真正性や自国の学位との相当性を判断する際に、その学位の取得に至る学習内容の正確な把握が求められる。
2018年2月、マレーシア資格機構(MQA)はデュアル・アワード(dual award)に関する声明を発表したが、この学位は他の学位とどのような違いがあるのであろうか。

マレーシアにおけるデュアル・アワードとは?

マレーシアにおいて、デュアル・アワードの資格取得につながるプログラムは、デュアル・アワードプログラムとして開講されるが、一般的に、2つの高等教育機関が1つのプログラムを共同で提供する形が多く、修了者には証書が2機関からそれぞれ授与(ただし授与される学位は1つ)され、それぞれの機関が提供するプログラムに類似性がある点が特徴である。
対して、ダブル・ディグリーの場合、学習者は2つの学位を取得する。

MQAの声明

MQAは教育省とともに国内外におけるあらゆる形態の高等教育分野の連携を支援しており、大学がデュアル・アワードによって連携関係を行う場合には、大学は下記について明確に示さなければならないとしている。

  • デュアル・アワードはダブル・ディグリーとは異なる形態の学位として区別される。ダブル・ディグリーは通常の学位プログラムと比べ、学習期間または学習量にボリュームがあると声明文では述べられている。
  • デュアル・アワードでは、提供されるプログラムはそれぞれの機関が提供する類似する内容のプログラムで構成され、プログラムを提供するそれぞれの機関において学習することが求められるものである。
  • 成績証書やマレーシア資格証明書(Malaysian Qualifications Statement)には2つの主体によって提供されたことが明示されること。
  • 大学は学生に対し、デュアル・アワードについて、雇用主や進学する高等教育機関など、資格を評価する人物にどのように伝えるべきかについて教える必要がある。

当声明はMQAのアクレディテーションを受けた全機関に適応される。ただし、マレーシアの高等教育機関と連携する外国機関は対象外である。MQAは評価を通じて、上記のような連携に関する合意についても審査し、高等教育機関が連携の状況に関して明確な情報提供をするよう確保する。

デュアル・アワードプログラムを実施している例としては、マレーシアのAsia Pacific Universityがあり、英国Staffordshire Universityと連携して、修士レベルのデュアル・アワードプログラムを提供している。なお、マレーシアのデュアル・アワードはデュアル・ディグリーと呼ばれることも多い。

様々な学位名称

学位形態の種類も多様であるが、その定義は国・地域によって異なり、同じ学位名称であっても学習形態が同じとは限らない点で、注意が必要である。

ジョイント・ディグリー(JD)、ダブル・ディグリー(DD)、デュアル・アワード(デュアル・ディグリー)(DA)の比較

日本 マレーシア 欧州
JD 連携する大学間で開設された共同プログラムを修了した際に、複数の大学が共同で単一の学位を授与するもの。 共同教育プログラムを提供する高等教育機関によって授与され、当該プログラム修了の証として法的に
認められる、単一の学位のこと。
DD 複数の連携する大学間で開設された同じ学位レベルの共同プログラムを修了した際に、各大学がそれぞれ学位を授与するもの。 複数、または単一の大学において開設された同じ学位レベルのプログラムを修了した際に、各大学がそれぞれ学位を授与するもの。 共同教育プログラムを提供する高等教育機関が、当該プログラム修了の証として授与する、二つの学位
のこと。
DA  (デュアル・ディグリーは)各教育機関が別個のカリキュラムの修了要件に基づき複数の学位を授与されるもの。単一の機関によって授与される場合もある。 複数の連携する大学間で開設された類似する内容の学位のプログラムを修了した際に、各大学がそれぞれ証書を授与するもの。 (デュアル・ディグリーは)二つの高等教育機関が、別々のカリキュラム修了の証として授与する、二つの学位のことであり、それぞれの機関が自らの学位に関する責任を有する。

学位形態の違いは資格の認証の際に少なからず影響を及ぼすと考えられる。ジョイント・ディグリーに関しては、ユネスコは「ジョイント・ディグリーの認証に関する勧告」を定めている(本サイト2016/7/14投稿記事)

参照:NIAD-QE国際連携ウェブサイト

原典: MQA(英語)

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