中国で進む証明書の電子化。CSCSE、外国学位の承認をペーパーレス化

外国で得た学位と中国の学位の同等性を承認する中国留学服务中心(CSCSE*1)は、2019年5月22日より行う承認プロセス改善により、紙の証明書の発行を中止すると発表した。同機関による学位の承認は、中国国内での進学、就職、大都市への移住などで必要となる。CSCSEと同じく中国人の留学を支援するCDGDC*2とCHESICC*3は、昨年夏からすでに証明書を電子化している(本サイト2018年11月9日掲載記事)

今回発表された新たな承認プロセスにより、①政府の本人確認システムとの連携、②卒業と学位記発行に時間差がある大学への対応の変更、③証明書の電子化が行われる。今後CSCSEは紙の証明書を発行しないが、電子ファイルを印刷した用紙であっても、記載内容をもとにしたオンライン認証をすることで法的に有効な書類となる。

CSCSEの国際会議*4での発表によると、2018年は25.3万件の外国学位の承認申請があり、このうち96.8%が帰国した中国人留学生からのものであった。また、昨年からは申請時に証明書の原本添付を求めておらず、画像データの送信で代用している。

今回の措置により、中国での外国資格の承認は申請から証明書発行までのすべてのプロセスが電子化された。しかし、申請者の学習歴の確認作業(verification)の際、追加の書類が必要となる場合がある。例えば、日本に留学した場合、一部の大学を卒業した学生は追加書類が必要となる。場合によっては、大学が発行し厳封した紙の書類が求められる。

中国も締結する「高等教育の資格に関するアジア太平洋地域規約」(通称、東京規約(本サイト2018年3月15日掲載記事))では、他の締約国で授与された高等教育資格は実質的な相違があることが明らかである場合を除き、自国の資格と同等と承認される。中国でこの承認を請け負うのがCSCSEである。日本は同規約を2017年12月に締結しており(本サイト2017年12月26日掲載記事)、2019年5月現在8か国*5が東京規約の締約国となっている。

*1CSCSE: Chinese Service Center for Scholarly Exchange
*2CDGDC: China Academic Degree and Graduate Education Development Center (教育部学位与研究生教育発展中心)
*3CHESICC: China Higher Education Student Information and Career Center (全国高等学校学生信息咨詢与就業指導中心)
*4第8回フローニンゲン宣言ネットワーク年次会合
*5締約順にオーストラリア、中国、ニュージーランド、日本、韓国、バチカン、モンゴル、トルコ

原典:CSCSE(中国語)

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