ドバイ域内の高等教育機関を政府が格付け
国境を越えた教育(TNE)を提供する17機関が対象
世界大学ランキングを提供するQS社と提携
アラブ首長国連邦のドバイで私立教育機関を統括する知識・人材開発庁(KHDA*1)は、2019年7月3日に初めて高等教育格付け(Higher Education Classification)を発表した。これは、同地にある海外大学の分校を9つの基準で採点し、結果に応じて星を付与したもの。今回は17機関が審査され、3校に5つ星が与えられた(最高は5つ星プラスで該当なし)。KHDAの発表によると、この格付けは学生の進学先選びの材料とすることが念頭に置かれており、ドバイが教育のハブとして成熟していることを示す狙いがある。
ドバイの高等教育格付けはKHDAが世界大学ランキングで知られるQS社*2と提携し、同社のQS Starsと呼ばれる採点手法をもとに開発した。各基準の指標のほか、星を4つ以上得るためには教員の論文被引用数や学生の国際性などの前提条件も設けられている。(評価方法は文末参照)
今回の格付けで5つ星を獲得したのはヘリオットワット大学、ロンドンビジネススクール、マンチェスター大学(いずれも本校はイギリス)の分校。格付けを得たのはインドやオーストラリアの教育機関の分校も含め計17校で、合わせて282の教育課程を提供している。
KHDAのウェブサイトに掲載された2017年11月現在のデータによると、ドバイにある大学は本校がUAEのものも含め計39校となっている。また、今回の発表ではドバイで活動している海外分校は全部で25校と記載されている。KHDAのAbdulla Al Karam事務局長は、「過去10年で(ドバイの)学生数は倍増しており、2008年には1万2000人だったものが、今では3万人を超えている」と語っている。
大学の格付けとランキング
このような政府機関による大学の格付け事例としては、2018年7月に中国の教育部学位・大学院教育発展センター(CDGDC)が発表した、修士の専門職学位を提供する学科の格付け(本サイト2018年10月1日)がある。これは全国293機関の650学科を対象に、A+からC-までの9段階の評価が下されたもので、専門職学位の発展と人材育成の質向上を促進・支援するために行われた。
一方、今回のように既存の大学ランキングの計算方法に独自性を加え、特定の国に特化させる取り組みは他でも見られ、Times Higher Education(本サイト2017年11月2日掲載記事)はベネッセグループと共同でTHE世界大学ランキング日本版を開発している。
高等教育格付けの基準と評価方法
格付けには表1にあるとおり、4つのカテゴリー、9つの基準、44の観点に沿って採点がされた。合計点に応じて星の数が決められる(表2参照)が、同時にカテゴリーごとに必要な最低点数も定められている(表3参照)。さらに、4つ星以上を獲得するためには追加の条件(表4参照)が設けられている。
表1:高等教育格付けのカテゴリー、基準、観点と配点
表2:格付けの意味と獲得に必要な点数(1050満点)
表3:格付け獲得に必要な、カテゴリーごとの最低点数
表4:格付け獲得に必要な追加条件
*1KHDA: Knowledge and Human Development
Authority
*2QS社:Quacquarelli Symonds Limited