【COVID-19】遠隔教育対応に向けた高等教育セクターの取り組みーアジア太平洋4か国の事例ー

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、各国政府は遠隔教育への支援姿勢を打ち出している。

世界中の教育機関が対面授業の中止を余儀なくされた結果、ユネスコによれば世界の約70パーセントの学生※1がその影響を受けている。同機関ではこのような未曽有の事態に対応するため、Global Education Coalitionという官民一体の国際ネットワークを発足し、遠隔教育※2促進のための支援に当たっている。「リモートで教育を提供する国への支援などを行い、子どもと若者のための包括的な学習機会を促進する」ことを目的としたこのネットワークには、国際連合や世界保健機構といった国際機関の他、Microsoft、Google、Zoomなど民間セクターからも参加しており、技術、特に接続性等に関するリソースと専門知識の提供が期待されている。

このように全世界的に遠隔教育への対応が進められる中、アジア太平洋諸国の高等教育セクターでは、どのような取り組みがなされているのか、本ウェブサイトにて最近掲載した記事を紹介する。

アジア太平洋諸国の高等教育セクターの取り組み

オーストラリアの大学に対し規制・監督を行う高等教育質・基準機構(TEQSA)は、オンライン教育を提供する際に大学が留意すべき点を記したガイダンス資料「Online delivery – key considerations for providers」を公開するとともに、大学向けにオンライン教育の提供に役立つ情報をまとめた優良事例集「Online learning good practice」を提供するなどして、大学を支援している(本サイト2020年6月19日掲載記事)。

またベトナム教育訓練省は、オンライン教育及び遠隔教育に関するガイドラインを発表し、オンライン教育に適切な内容やモジュールなどを定め、教育の質の確保に努めるとともに、国内の情報通信や放送を所掌する情報コミュニケーション省と連携しつつ、教育機関へのオンライン教育の無償提供を進めている(本サイト2020年7月2日掲載記事)。

一方、中国教育部は、全国の高等教育機関に向けた官民合わせて22のオンライン教育プラットフォームによる様々な情報システムを無料で提供するなどして、オンラインでの授業実施を支援している。2020年2月4日時点で、24,000以上のオンラインコースが無料公開されており、これらのコースは学士課程の12の学問分野と専科課程の18の専攻分野全てをカバーしているとのことである。(本サイト2019年3月12日掲載記事)。

日本における取り組み

日本においては、文部科学省が大学等に対し2020年3月24日に発出した通知文書※3の中で「今後、学生の学修機会を確保するとともに,感染リスクを低減する観点から,いわゆる面接授業に代えて,遠隔授業を行うことが考えられる」と言及している。さらに、大学等で遠隔授業を活用する際の留意事項をまとめたQ&A※4を公表するなど、遠隔授業の適切な実施に向けて取り組んでいる。また同省が4月24日に発表した調査※5によれば、回答した国公私立大学(短期大学含む)及び高等専門学校804校のうち、調査を行った4月23日時点で遠隔授業の実施をすでに決めている大学等は478校(59.5%)、実施を検討しているとした大学等は315校(39.2%)となり、ほぼ全て(98.7%)の大学等で実施または検討する方針となっていることが紹介されている。

※1 就学前、初等、中等教育(ISCED0-3レベル)及び高等教育(ISCED5-8レベル)に在籍している学生が集計対象。
※2 遠隔教育(Distance Education)の定義についてユネスコ、及び遠隔教育の推進を主たる目的とし、英連邦政府も加盟する政府間機関である、Commonwealth of Learning(2011)は以下の通り定義している:
遠隔教育は、教育者と学生の時間的・地理的分離を解決するために用いられうる教育方法である。このような教育方法はいかなる教育プログラムにも統合されうるものであり、また場合により、教育者と学生が同じ時間・場所で行われるような、他の教育方法と組み合わせて用いられる。
※3「令和2年度における大学等の授業の開始等について(通知)」
※4 「学事日程等の取扱い及び遠隔授業の活用に係るQ&A等の送付について(5月22日時点)」
※5「新型コロナウイルス感染症対策に関する大学等の対応状況について」


原典➀:ユネスコ(英語)
原典➁:ユネスコ(英語)
原典➂:文部科学省(日本語)
原典➃:文部科学省(日本語)
原典➄:文部科学省(日本語)

カテゴリー: その他の国・地域 タグ: , パーマリンク

コメントを残す