カナダの高等教育、公式証明書の電子化を実現

電子証明書を扱うMyCreds/ MesCertifの開設

カナダ高等教育の修了証や成績証明書のデジタルな共有が可能に

証明書類の電子化は世界的にみられる動き

2020年12月7日、カナダ高等教育の学位等の資格証書や成績証明書の電子化プラットフォームMyCreds/ MesCertifが開設された。運営するのは国内高等教育機関に勤務する学籍担当者(registrar)と入学担当者の団体ARUCC*1。カナダの高等教育で学んだ学生は、これから自分の修了書や成績証明書を自らの手で管理し、就職や進学の際には第三者との共有もオンライン上でできるようになる。

英仏2言語で提供されるMyCreds/ MesCertifを通じ、カナダの高等教育で学ぶ学生や卒業生はいつでも自身の資格ウォレットにアクセスできる。学生が閲覧、管理、共有できる文書はすべて公式のもので、修了証、成績証明書のほか、デジタルバッジやマイクロクレデンシャルも含まれる。

今後は文書を発行する各機関の作業が完了次第、プラットフォームの利用が可能となる。第三者と文書を共有する場合の手数料は、各機関が決定することになる。

MyCreds/MesCertifの開発はARUCC全国ネットワークプロジェクトとして進められており、ここには入学・転学に関する全カナダコンソーシアム(PCCAT*2)、(カナダの大学の)最高情報責任者によるカナダ大学カウンシル(CUCCIO*3)、カナダ高等教育電子標準カウンシル(CanPESC*4)のユーザーグループも参画している。ウェブサイト公表を伝えるプレスリリースの中で、ARUCC会長のRomesh Vadivel氏は、「私たちは国内外の学生が高等教育の公式なデジタル修了証と成績証明書を共有するための、全国的でセキュアなデジタルネットワークの構築という究極の目標に向かっている」ことを表明した。

開発に携わったのはDigitary社とSplit Mango社。このうちDigitary社はすでにアメリカ、中国、オセアニアなどでも同様のデジタル証明書の発行を始めており、日本における動きもみられる。

証明書類の電子化は世界的にみられる動きで、本サイトの記事(2017年6月7日掲載)でもオランダ(Diplomaregister)やアメリカ(National Student Clearinghouse)の事例を紹介している。さらに、マサチューセッツ工科大学(本サイト2017年11月17日掲載記事)などではブロックチェーン技術を用いた証明書を実用化している。

*1ARUCC: The Association of Registrars of the Universities and Colleges of Canada
*2PCCAT: The Pan-Canadian Consortium on Admissions and Transfer
*3CUCCIO: The Canadian University Council of Chief Information Officers
*4CanPESC: The Canadian Postsecondary Electronic Standards Council

原典①:MyCreds/ MesCertifプレスリリース (英語)
原典②:MyCreds/ MesCertif – FAQ (英語)

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