韓国:先端新技術分野の修士・博士課程入学定員を1,303名増員

韓国教育部は先端分野に関する修士課程・博士課程の入学定員を前年度から1,303名増員することを発表した。尹錫悦政権の国政課題「デジタル人材100万人養成」推進のため2022年に大学院入学定員に関する規制緩和が行われ、今回先端新技術分野の修士・博士課程の入学定員が増員されることとなった。

日本のIT人材は2030年に最大で78.7万人不足するという試算結果がある※1。人工知能や半導体を扱う人材の不足は、韓国でも大きな課題であり、尹錫悦政権がこの状況打開に向けて取り組んでいることがうかがえる。
※1 出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査報告書(みずほ情報総研株式会社)」,2019年3月, 平成 30 年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT 人材等育成支援のための調査分析事業

尹錫悦政権の国政課題「デジタル人材100万人養成」と規制緩和

2022年5月に発足した尹錫悦政権の国政課題のひとつである「デジタル人材100万人養成」は、デジタル分野や半導体分野に関する知識・技能を備えた、新技術分野の革新的人材の積極的養成を趣旨とするものであり、2026年までにこれらの人材(高卒~博士レベル)を100万人養成することを目標としている。うち、高級人材(修士・博士)については、2021年の1.7万人から養成規模を拡大し、2022年~2026年の5年間の累計養成数を13万人に増加させる計画である。この目標達成のため、韓国教育部は半導体や人工知能等の先端新技術分野に関する修士課程・博士課程定員の増員基準の緩和等を趣旨とした「大学設立・運営基準」の改正を2022年8月に行った。

改正前は大学が修士課程・博士課程の定員を増員するためには校舎面積、校地面積、教員数、収益用基本財産の4項目について、法令で定められた要件を、増員予定数も含めた学生数を基準として充足する必要があったが、改正により、政府の指定する先端技術分野の修士課程・博士課程については、教員数要件の充足のみで足りることとなった(本サイト2022/10/21投稿記事)。

先端新技術分野の修士・博士課程入学定員

入学定員の増員にあたっては、大学からの申請に基づき、専門家により構成された大学院増員審議委員会での審議の結果、24大学69学科(専攻)で計1,303名の入学定員が増員されることとなった。学位別の内訳としては修士907名、博士396名であり、先端分野の類型別の内訳は以下の通りである。
【参考】増員された学科(専攻)の例:
・人工知能専攻(ソウル大)
・ビッグデータ融合学科(延世大)
・エネルギー環境政策技術学科(高麗大)

今後の予定

今回増員された入学定員数は2023年度(2023年3月~)に行う入学者選抜から有効である。 また教育部は2023年度上半期に入学定員が増員された学科を対象に運営準備状況等についての中間点検を行う予定である。

原典:教育部(韓国語)

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