2024年6月27日、英国高等教育質保証機構(QAA)は、「英国高等教育のための質規範(クオリティ・コード)」の改定版を公表した。
クオリティ・コードは、英国の高等教育セクター全体の共通理解に基づき作成・共有される高等教育の学術水準の確保と質の向上の原則を示す文書である。クオリティ・コードにより、高等教育機関への期待を明らかにし、人々に高等教育の情報を提供し、学生の利益を保護し、また、英国の教育の質についての国際的な評価を高めるための基礎をなすことができる。クオリティ・コードは、QCUKHE※1とQAAが高等教育セクターの議論を促しながら作成される。著作権はQCUKHEとQAAが有するが、高等教育セクターに属する文書であるということが重要視されている。
クオリティ・コードは規制機関による規制とは別の枠組みの文書であるが、規制機関による規制との関係をみると、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドでは、規制における参照基準(参照点)として採用されている。イングランドでは、2023年3月までは学生局(OfS)の登録要件とともに参照基準となっていた。※2同年4月以降は、クオリティ・コードにかわってOfSの登録要件が参照基準となっている。
■改定版クオリティ・コードの特徴
クオリティ・コードは1990年代後半に策定・導入後、2014年と2018年の改定を経て、今回が第4版の刊行(3回目の改定)となる。これまでもQAAと英国の高等教育セクターで議論し、合意形成の上で策定されてきたが、QAAによると、今回の改定では、これまで以上にセクターと密な議論を行い、その観点や価値観が反映されている。
改定版クオリティ・コードは高等教育セクターの意見を踏まえ、「学生参画」、「パートナーシップ」、「自己点検」、「包摂性」を含む計12の「セクターにより合意された原則(Sector-Agreed Principles)」(以下、「原則」とする。)と各原則の下に示された当該原則に関する実践の具体例である「キー・プラクティス(Key Practices)」で構成され、前回(2018年)の改定版と比べ、英国の高等教育の質と学位授与に関する基準(Standards)※3の運用を支えるセクターの共通理解がより具体的に詳細にまとめられている。
改定版クオリティ・コードのもうひとつの特徴として、欧州高等教育圏における質保証の基準とガイドライン(ESG)(NIAD-QE国際課まとめ)に沿ったものである点が挙げられており、これにより英国の高等教育の価値の認識が、国内外で高められるとしている。
また今回の改定では、クオリティ・コードの適用対象が高等教育(Higher Education)から第三段階教育(Tertiary Education)へと拡大されている。※4
■改定版クオリティ・コードの概要
改定版クオリティ・コードを構成する、セクターにより合意された12の原則を表1にまとめた。

各原則の下には、原則の説明文と、4~8項目のキー・プラクティス(主要な実践例)が記載されている。一例として、いわゆる外部質保証について述べた原則6の説明とキー・プラクティスを挙げる(表2)

■助言書の公表予定について
QAAの発表によると、12の原則及びキー・プラクティスの下に、高等教育機関向けのより実践的なガイダンスである「助言書(Advice and Guidance)」を2025年から2027年にかけて順次公表するとのことである。助言書は、各高等教育機関がそれぞれ置かれた状況で各種の活動を行えるようにするための原則とキー・プラクティスの詳細をまとめたものである。
- グループ1(原則1、2、8) : 2024年9月に作成開始、2025年6月に公表予定
- グループ2(原則4、5、7、11) : 2025年9月に作成開始、2026年6月に公表予定
- グループ3(原則3、6、9、10、12) : 2026年9月に作成開始、2027年6月に公表予定
■クオリティ・コードの適用及び活用について
クオリティ・コードは、ファウンデーション学位※5、研究志向の学位、より短期の学習コース、マイクロクレデンシャルを含む、あらゆるレベル、形態、場所による学習と資格に適用することができ、具体的には以下の場面で活用できるとしている。
- 高等教育機関の質と学位授与基準の枠組みの設計、開発、実施、維持
- 高等教育機関の方針と実践に対するレビュー
- 学生の学習経験の拡充
- 公平性、多様性、包摂性、環境保護の観点からの持続可能性の確保と促進
原典①:QAA(英語)
原典②:QAA(英語)
原典③:QAA(英語)
原典④:QAA(英語)
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