コメント(解説):欧州の大学が各分野で提供する様々なプログラムに対し、国の垣根を越えて、統一的な外部質保証や評価を行うことを目指したプロジェクトです。最終的に、分野を越えた共通基準が有効であることや、各国に配慮した基準の開発が提唱されたほか、プログラム自らが明確な質保証の戦略を持つことの必要性も言及されています。
正式名称
Transnational European Evaluation Project I
実施主体
ENQA (European Association for Quality Assurance in Higher Education)
実施年
2002-2003年
概略
欧州レベルの国際的な共同評価に関するプロジェクト。欧州における国際的な評価に関する過去の取組みやボローニャ・プロセスの進展を目的とする欧州チューニ ング・プロジェクト等の経験をもとに、欧州委員会の助成を受けて実施。第1期のTEEP Iでは、ENQA(欧州高等教育質保証協会)加盟の英国、デンマーク、スペインの質保証機関の協力を得て、欧州11か国の14プログラム(歴史学、物理学、獣医学の3分野)を対象とした共同評価を試行。 本プロジェクトの主な活動は、以下のとおり。
- 3分野に共通の基準(criteria)を用いた評価の試行、国際的な外部評価方法の開発
- 国際的な共同評価の実施の障害となりうる要因の割り出しとその解決策の検討
- 欧州高等教育圏における質保証の透明性・通用性の向上、国境を越えた質保証に関する啓発
本プロジェクトを通じて、分野を越えた共通基準の有効性が確認されるとともに、国際的な外部質保証に関して、次のような視点の必要性を説いている。
- 国・地域ごとの高等教育・質保証の文脈と矛盾しない評価基準の開発が不可欠であること
- 評価を受けるプログラム側にとって分かりやすく、かつ有益な用語を用いた評価を行うこと
- プログラム自らが明確な質保証の戦略を立てる必要があること
また、政府がボローニャ・プロセス等の政策的目標に積極的に関わることにより、質保証における国際的な共通目標の達成が促進されるという点も明らかになった。