採用担当者へのデジタル資格の浸透はこれから

  • Accreditrust Technologies社による人事担当者への調査

  • 学位や職務経歴書が依然として重要視されている

  • デジタル資格は補完的な役割に留まるとの認識

企業の人事担当者の6割以上はデジタル資格のことをほとんど知らない。このような調査結果がAccreditrust Technologies社(アメリカ・バージニア州)より発表された。

デジタル資格はオープンバッジとも呼ばれ、紙やPDFではなく電子的な形態の資格のことである。近年、デジタル資格はムークに代表されるような正規外教育の中で発達してきており、従来の学位よりも詳細に個人の技能を表現するため、企業が必要としているスキルや知識を持つ人材を的確に発掘できるとされている。

しかし、同社が実施した企業の人材開発や採用に携わる担当者130名への調査によると、学位や専門的な職業資格、職務経歴書といった従来の材料が依然雇用の決め手となっていることが明らかになった。その一方で、デジタル資格を選考時の判断材料にしていると答えた回答者は全体の1/4に留まった。また、半数の回答者がデジタル資格は今後も選考の際の補完的な資料に留まるだろうとの見通しを示した。

調査レポートでは上記の結果を踏まえつつも、企業は知識ではなく適当なコンピテンシーを持つ人材を求めているという現状に注目する。University VenturesのRyan Craig氏による「雇用者はビッグデータを用いて(従来の)学位の先にあるその中身まで知ることができる」というコメントを引用し、こうした潮流においてデジタル資格は「社会通貨」になり得ると指摘している。

社会での通用性をより高めるため、本報告書の中でもいくつかの取り組みが紹介されている。例えば、IMS Globalによるデジタルバッジの標準化、米のルミナ財団が助成する情報共有のレジストリ作成と実用性のあるアプリ開発事業などが挙げられている。
eラーニングや教育ICTの国際標準化を進める大学や企業を会員とする国際コミュニティ

教育界でもコンピテンスを中心とした教育や資格のデジタル化への注目は高まっている。アメリカでは、コンピテンシーにもとづく教育(CBE)課程(本サイト2014/10/31掲載記事)も連邦政府の助成対象とすべく試行されている(本サイト2014/9/11掲載記事)。また、従来とは異なる形態での高等教育提供者に対する質保証の取り組みも模索されており、代替高等教育と質保証に関する委員会の政策提言(本サイト2014/11/13掲載記事)のほか、CHEA International Quality Groupが主導するクオリティプラットフォーム(本サイト2016/2/25掲載記事)という取り組みも始まったところだ。

今後もデジタル資格を提供する教育プログラムが広く普及していく可能性は充分あり、質の保証も含めて注目していく必要がある。

出典:Accreditrust Technologies, LLC.(要メールアドレス登録)
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