実績合意書(Performance Agreement)の結果が発表―高等職業教育機関6校に不適当

原典①: 高等職業教育機関協会(オランダ語)
原典②: 大学協会(VSNU)(オランダ語)
原典③: LSVb(オランダ全国学生連盟)(オランダ語)
原典④: オランダ教育・文化・科学省(オランダ語)
原典⑤: 高等職業教育機関協会(オランダ語)
原典⑥: Reviewcommissie Hoger Onderwijs en Onderzoek(オランダ語)

2016年10月24日、オランダの高等教育機関の実績を評価する審査委員会※1(Reviewcommissie Hoger Onderwijs en Onderzoek)は、オランダ政府と各高等教育機関との間で個別に合意した、2012年から2015年を対象とした「実績合意書(Performance Agreement)」についての評価結果を発表した。(参考:オランダ政府が大学の目標達成のための支援策を打ち出す―実績合意書(Performance Agreement)(本サイト2016/9/21投稿記事)
高等職業教育機関※2全36校のうち6校が合意書の3つの事項のうち1つの事項に不適当(negative)※3との判断がなされた。なお、大学については、全18大学※4が実績合意書に記した合意を果たしたとしている。
不適当との評価が下された6校は、いずれも「学習の達成(study success)」の項目が達成されていないと判断された。今回不適当とされた6校は、今後政府との協議を経た後、政府からの助成金のうち5%が減額される可能性が高い。

関係者の意見

審査委員会:「高等教育機関における実績合意書の履行状況について、全体的には満足のいく結果だった。学部レベルでの質の改善が顕著である。」

大学協会:「審査委員会の最終的な結果に満足している。大学は教育・学術的な質を確保している。」

高等職業教育機関協会:「達成できなかった6校に対して、一側面のみを理由に財政的に罰することは不公平である。数値の背景まで考慮していない上、各機関の中にも志を高く持っている学生がいる中で罰することは質文化に適合するとは言えない。」

学生団体LSVb「実績合意は公平ではなく、教員に負担をかけるものである。(審査は)数値にのみ焦点があてられており望ましくない。」

オランダの高等職業教育機関の事情

オランダでは高等職業教育機関が2009年の段階から、授業・訓練の充実と質の向上、中退率の減少・卒業率上昇、入学者のレベルの引き上げへの取組みが課題となっており、これらの対応に苦慮しているという。

※1オランダ教育・文化・科学省からの提案をオランダ議会が承認し、発足した委員会。
※2高等職業教育機関についても、2011年に教育省と高等職業教育機関協会との間で実績合意書の前提となる合意が締結されている。教育省と機関間の個別の合意は2012年に締結されている。
※3今回の判断は、委員会の意見であり、「適当」と「不適当」のそれぞれの判断基準について、政府内では明確になされていない模様である。今後大臣と「不適当」と判定を受けた6校との協議で政府側が審議会の判断のみならず、6校の取組みを考慮した上での政府側の「適当」と「不適当」の線引きが求められる可能性があるとされている。
※4当初合意を締結した大学数は14校であった。

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