CHEAが学術不正への対処に関する勧告声明をフォローアップ

原典:CHEA

2016年12月12日、米国高等教育アクレディテーション協議会国際質保証グループ(CHEA International Quality Group: CIQG)は、同グループとユネスコ国際教育計画研究所(IIEP-UNESCO)が2016年7月に作成した勧告声明であるAdvisory Statement for Effective International Practiceに係るフォローアップとして、学術不正への対処に関するウェビナーを開催した※1

ウェビナーは、「学術不正への対処―国際質保証コミュニティは何ができるか?(Combatting Academic Corruption: What Might the International Quality Assurance Community Do?)」と題して開催された。2016年3月に行われた専門家会議(本サイト2016/4/25投稿記事参照)の議長であるContact North※2研究員John Daniel氏をはじめとする5人の専門家によって、学術不正問題の協力者・利害関係者としての学生やメディアの役割についての発表などがなされた。

同ウェビナーの基となっている勧告声明は、多様な利害関係者に対して、高等教育において学術不正が起こらないようにするための効果的・国際的な実践例についてガイドラインを提供することを目的としている。また、学術不正を網羅的に分類し、対処すべき主体を例示していることが特徴となっている。勧告声明で示されている内容は、以下のとおり。

学術不正の種類 学術不正の例 予防の実践例
学生の入学・募集における
不正
・政府や規制機関が定めた入学定員を超過する。
・学生募集において不正確な広告を出す。
・入学定員の管理を政府、専門機関、高等教育機関が行う。
・各機関が行う広報・マーケティングに関して消費者保護法の適用範囲に含める。
学生の評価における不正 ・試験問題や関連情報を売る、エッセイミル※3を利用する。
・授業の課題や試験で剽窃やカンニングをする。
・試験問題作成や印刷過程のセキュリティを確保する
・学生に剽窃・カンニングへの処罰内容・手続きを周知する。
単位・資格の授与における
不正
・ディグリーミルやアクレディテーションミルを行う。
・履歴書や就業の書類に虚偽の資格を記載する。
・高等教育における成績や資格の証明書に関する国際的な保護基準を策定する。
・書類の真贋を簡易判定する技術を導入する。

(Advisory Statement for Effective International Practiceより内容を抜粋して国際課にて作成。)

※1 なお、当機構において、2015年7月に、平成27年度大学質保証フォーラム「知の質とは アカデミック・インテグリティの視点から」をテーマに開催し、近年の日本の教育・研究事情を概観しながら、学術不正に対して、どのように取り組むべきか議論した。本フォーラムの報告書もあわせてご覧いただければ幸いである。

※2  Contact North:カナダ・オンタリオ州における遠隔教育及び訓練のネットワーク。

※3 エッセイミルについては、英国において予防のみならず取締りも含めた対処について提言がなされている(本サイト2016年10月4日投稿記事参照)。

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