韓国「産業界の観点による大学評価」の2016年度結果を発表

韓国教育部と韓国大学教育協議会(KCUE)は、4月19日に「産業界の観点による大学評価」(Industry Perspective University Evaluation)(本サイト2014/10/27投稿記事及び本サイト2016/6/1投稿記事)の2016年度結果を公表した。

大学の質保証における産官学連携

「産業界の観点による大学評価」は、教育部が国内の5つの経済団体※1との協力のもと、KCUEが主催して実施している、特定専門分野の学部・学科を有する大学を対象とした任意参加の評価制度である。産業界の視点から大学の教育カリキュラムを評価することで大学に改善を促し、産業界のニーズに合った人材を養成することを目的としている。
当評価は2008年から対象分野を変えて毎年実施されており、2016年は建築(施工)、土木、機械、自動車、造船海洋の5分野について67大学166学科が参加し、「最優秀大学」に39大学(分野別の重複を除く)が選ばれた。

※1 : 全国経済人連合会、大韓商工会議所、韓国貿易協会、中小企業中央会、韓国経営者総協会の5団体

評価の実施体制

当評価の実施にあたり、産業界は分野別に求める職務能力、必須科目等の評価基準を提示し、それに対して大学が根拠資料、データを提出することにより評価が行われる。教育課程について、「カリキュラムデザイン」、「課程運営」、「教育成果」の3領域により評価し、課程運営は卒業生・在学生を、教育成果では企業をそれぞれ対象にアンケート調査を実施する。当評価の運営には30社の企業が参画し、調査には2,991社が協力した。

また、評価の過程において評価者委員会が大学へのコンサルティングを実施するなど、コミュニケーションを強化しており、2016年度から大学評価の専門家5名も新たに参加している。

評価結果の活用

評価は「最優秀」、「優秀」、「良好」で区分され、「最優秀」大学のみ発表される。分野別最優秀大学には建築(施工)20校、土木11校、機械13校、自動車6校、造船海洋4校が選ばれた。分野別の教育課程運営におけるベストプラクティスも選定され、建築(施工)分野では光云大学校、土木分野では東新大学校、機械分野ではハンバット大学校、自動車分野では慶一大学校、造船海洋分野では昌原大学校がそれぞれ選ばれた。評価結果はセミナーを通して公表され、各分野の優れた事例や産業界からの提言等が示された。

今回優れた評価を受けた大学について、教育部は、教育課程編成や運営に関して、産業界の意見を反映し、特定の業界に特化した専門人材を養成するための教育課程を開設したり、現場実習、実験実習等の教育方法を導入するなど、教育課程・方法の継続的な改善に取り組んでいる、と分析している。経済5団体は、会員企業に対して分野別最優秀大学の卒業生を積極的に雇用するよう勧告を行うとしている。

分野別最優秀大学

建築(施工):江原大、建国大、慶南大、慶一大、慶熙大、光云大、群山大、東明大、東西大、東亜大、東義大、亜洲大、嶺南大、全南大、済州大、中部大、中央大、忠南大、韓国交通大、漢陽大<20校選定/ 47校の参加>

土木:建国大、群山大、東新大、東義大、釜山大、鮮文大、世宗大、円光大、全北大、靑雲大、韓国海洋大<11校選定/ 40校の参加>

機械:嘉泉大、建国大、慶南大、慶一大、公州大、群山大、釜山大、鮮文大、全南大、中央大、忠北大、ハンバット大、漢陽大<13校選定/ 49校の参加>

自動車:江陵原州大、慶一大、国民大、群山大、ソウル科学技術大、又石大<6校選定/ 19校の参加>

造船海洋:東明大、仁荷大、朝鮮大、昌原大<4校選定/ 11校の参加>

 

原典:韓国教育部(韓国語)

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