韓国:「産業界の観点による大学評価」の2020年度結果を公表

韓国大学教育協議会(KCUE)は2021年2月24日に「産業界の観点による大学評価」の2020年度結果を公表した。今回の評価では建設と機械の2分野をテーマとし、関連する課程を提供する大学の学科が多数参加し、産業界からのニーズを反映した優れた取組みを行った計25学科が最優秀評価を受けた。

評価制度概要
「産業界の観点による大学評価」は、教育部の支援と国内の5つの経済団体の協力のもと、KCUEが主催して実施している、産業界との連携が望まれる特定専門分野の学部・学科等を有する大学を対象とした評価制度である。産業界の視点から大学の教育課程を評価し、必要に応じて情報提供や関連科目を提案することで大学に改善を促し、産業界のニーズに合った人材を養成することを目的としている。同評価は、2008年から対象分野を変えて毎年実施されており、評価への参加は各大学の希望による。
※大韓商工会議所、全国経済人連合会、韓国貿易協会、中小企業中央会、韓国経営者総協会

評価に当たっては、対象分野に関連する企業役職員等により構成された評価委員会が、 「教育課程設計」「教育課程運営」「教育課程運営成果」の3領域について、産業界からのニーズを基盤とする評価を行う。評価に用いられる資料・データは主に➀大学提出資料、➁大学情報公示(教育部の公表する大学情報)、➂在学生卒業生への調査、の3種類である。

評価の結果、各大学は「最優秀」、「優秀」、「良好」で区分され、評価結果は報告書や優良事例集の発刊、セミナー等を通して広く発信される。

※同評価制度の詳細については当機構発行「諸外国の高等教育分野における質保証システムの概要 韓国」の20-21ページを参照のこと。

2020年度評価概要
建設(施工)、機械(自動車)の2分野について実施され、サムスン物産、現代産業開発、ロッテ建設など関連職種の有名企業20社の役職員が評価委員会に参加した。また今回の評価では「第4次産業革命を担う人材養成」に焦点が置かれ、自動運転車や人工知能等新たな科学技術について、効果的に教育課程に反映させる体制づくりや、高い学習成果を出すための工夫を行った大学が評価された。
53大学81組織(2分野合算)が参加し、評価の結果、建設分野については12大学(組織)が、機械分野については13大学(組織)が最優秀評価を得た。

最優秀評価を受けた大学の優良事例
以下では、優良事例集で紹介された最優秀評価を受けた大学の取組み例を紹介する。

産業界ニーズを反映した教育課程の構築:BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリン グ)など建築界の新たなデジタル技術を学ぶために「デジタル建築設計、デジタル建築技術、 デジタル統合設計」科目を開設して運営し、学生の第4次産業時代に対応できる力の強化に寄 与。(慶南大学校)

長・短期の現場実習:学期中3か月以上、あるいは長期休業中4週以上専攻関連の現場で実務 を経験することのできる実習プログラムを運営。大学で学んだ内容の実践を行える上、就職前 に自身の適性を判断する契機ともなるため、学生からの満足度が高い。(ソウル科学技術大学 校)

継続循環型教育改善システムの構築:産業界や卒業生、在学生など多様なステークホルダーのニーズを分析し、カリキュラムや教育環境の改善を行い、これを教育目標に反映させる継続的な教育改善システムを構築。(釜山大学校)

(参考)過年度評価結果
過年度の評価結果については以下リンクの本サイト掲載記事を参照こと。
2017年(本サイト2018/6/19投稿記事)
2016年(本サイト2017/6/21投稿記事)
2015年(本サイト2016/6/1投稿記事)
2013年(本サイト2014/10/27投稿記事)

原典➀:韓国大学教育協議会(韓国語)報道発表資料
原典➁:韓国大学教育協議会(韓国語)「産業界の観点による大学評価」制度概要
原典➀:韓国大学教育協議会(韓国語)優良事例集

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