【自動車の次は大学?】メリットが大きい証明書の電子化

紙の書類はコストがかかる

2019年5月17日に、道路運送車両法の一部を改正する法律案が参議院で可決され、成立しました。これにより、現在は紙で発行されている自動車検査証(車検証)が、ICカードに変わることが決まりました。車検証が電子化された理由の1つが、車のディーラー等が検査証発行のために運輸局の各支局に行く手間の省略です。国土交通省の調査によると、ディーラー等は週平均2.5回も運輸支局に通っていました。

それでは教育分野はどうでしょうか。みなさんは進学や就職をした時、卒業証明書をもらうためにわざわざ母校を訪問しませんでしたか。近畿大学など証明書をコンビニエンスストアで発行する大学(本サイト2017年6月7日掲載記事)もありますが、あまり普及していません。私が卒業したイギリスの大学では、郵送で証明書を受け取るのに2~3週間かかりました。しかし、外国の教育機関の中には紙ではなく、電子証明書を出すところが増えています。

学位・成績証明書の電子化

オーストラリアとニュージーランドの大学はMy eQualsというウェブサイト(本サイト2017年5月12日掲載記事)を通じて、学位や成績の証明書をPDFで発行しています。スウェーデンの高等教育機関はLadokコンソーシアムを組織して証明書のペーパーレス化を実現しています。メキシコのTecnologico de Monterreyなどが発行するXMLデータは、正規の学位記であると法律で認められています(2019年フローニンゲン宣言ネットワーク年次会合での発表より)

証明書の電子化は、取得コストの削減だけでなく、書類の改ざん防止にも役立ちます。たとえば、PDFで発行される証明書には電子署名が施されています。マサチューセッツ工科大学などでは、技術的に改ざんが不可能と言われているブロックチェーンによる学位記の発行を始めています(本サイト2017年11月17日掲載記事)

電子化のメリットは大きい

偽造書類を用いた学歴詐称は国際的に関心の高い問題で、イギリスHEDDのツールキットによる啓蒙(本サイト2016年8月30日掲載記事)など、各国で対策が進んでいます。電子証明書は完璧ではありませんが、偽造リスクの削減に有効であることは事実です。

また、電子化のために多額のコストがかからない事例もあるようです。たとえば、スペインの企業が提供するeTítuloというサービスは、学生に関する既存のデータを用いて、学校に代わって電子証明書を発行します。学校は証明書の発行毎に企業に料金を払う仕組みで、学生から徴収する発行手数料の一部を充てることが可能で初期開発費用はかかりません。

日本では電子証明書を進学や就職時に受け取ってもらえるのか、また企業などは学歴詐称リスクを真剣に考慮しているか、といった課題があるでしょう。しかし、便利さが増しセキュリティが強化される証明書の電子化を、日本の大学は真剣に検討する時期に来ているのではないでしょうか。

(文責:Y.S.)

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