偽造書類の発見に自信のある大学職員は25%―イギリスNICによる調査と事実確認の重要さ

イギリスのナショナル・インフォメーション・センター(NIC)であるUK NARICは、2020年2月26日に発表した公式ブログの記事で、同機関が世界17か国の大学職員に行った調査の結果を明らかにした。調査に回答したのは出願書類の審査担当者で、そのうちの25%が誰の助けも得ずに証明書の偽造を発見する自信があると答えた。また、62%の職員が、すべてまたは疑わしいケースにおいて、書類の発行元に対して証明書の内容の事実確認を行っていた。偽造防止の取り組みとしては、原本提出の義務付け、アポスティーユ*などの法的認証、オンライン確認ツールの利用が挙がった。一方、14%が海外で発行された証明書は内容確認をしていないと回答した。

日本・アメリカでの調査結果

UK NARIC以外でも出願書類の偽造を扱った調査は行われている。日本において大学評価・学位授与機構(当時)が2014年に行った出願資格審査に携わる大学職員向けの調査によると、「出願時に提出される卒業証明書や成績証明書等に偽造やその疑いがあった」と答えたのは全体の1割未満であった(学士課程入学で9%、大学院課程入学で7%)。さらに、「証明書の真偽判別のための取組がある」と答えた職員は2割程度で、その内容の多くが原本提出と公印の確認であったが、中には(証明書)発行元への事実確認との回答も見られた。

アメリカでは2018年に、大学職員を対象とした電子化された証明書の取扱いに関する調査が行われた(本サイト2019年7月5日掲載記事)。これによると、回答者の99%が「厳封され、発行者から直送された紙の文書」であれば証明書として受領していた。その一方で、「厳封され、学生が提出した紙の文書」を認めるとの回答は68%に留まった。また、最近ではさまざまな国の政府や教育機関が、オンラインで証明内容の事実確認を行えるサービスを提供している(本サイト2018年10月24日掲載記事)。例えば、中国政府は国内で得られた学位と学歴を認証するオンラインサービスを提供しており、2018年6月からは無償化されている(本サイト2020年1月16日掲載記事)

偽造防止のための各国の取り組み

証明書の発行側も偽造防止のため、厳封した証明書を出願先へ直送したり(本サイト2020年1月10日掲載記事)、証明書自体を電子化する(本サイト2019年6月18日掲載記事)など対策を進めている。特に、証明書の電子化ではブロックチェーン技術の活用(本サイト2019年3月27日掲載記事)も行われ、マレーシア政府(本サイト2020年2月12日掲載記事)など導入事例が相次いでいる。

今回の調査をしたUK NARICは、高等教育機関に代わって発行元への証明内容の事実確認を行うサービスQCAS (Qualification Checked At Source)を提供している。これはイギリスにあるQualification Check社との共同事業で、平均10営業日以内で証明書の真正性を判断する。イタリアのNICであるCIMEAでも同様のサービスを行っており、出願書類の真正性証明書(Statement of Verification)を発行している。CIMEAの真正性証明書はブロックチェーンを通じて発行されることも特徴の1つである。


*アポスティーユ:政府(日本の場合は外務省)が行う付箋による公文書の証明。「外国公文書の認証を不要とする条約」を締結した国の間でのみ有効。日本の教育機関で発行された文書の場合、公立の高等学校・中学校・小学校などや、法人移行前の国公立大学のみがその対象となっている

原典:UK NARIC (英語)

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